深夜、ふと目が覚めて喉が渇いたなあと思ったので起き上がる。寝ぼけ眼ではあったけれど頬にぱらぱらと当たって何かが落ちる感覚、何の気なしに枕に手を置いたら細かい何かに触れた。
なんだこれ、電気を付けてマジマジと見入る、髪の毛だ、結構な量の髪の毛。自分の髪だとなんとなくわかるんだけど、抜け毛ではない、だってこんなに短いはずがないもの。どういうことだ。
回らない頭を一生懸命働かせて考えた、まるでハサミで切られたかのような……自分の頭に触れて探れば一部がすっぱりと切られてる部分がある。気にしなければどうということはない。あとで揃えよう。
問題があるとすれば、何故切られてるのか、何に切られたのかということである。これまでの経験上、思い浮かぶのはあれしかない。
「きっと新手の妖怪がどこかに……って、ヒャアアア!ででで出たあああ!」
「……?」
「かっかっかかか髪の毛食ってるううう!」
「邪魔している、そして髪も少々頂いている、俺は吉継、髪切りだ」
「あ、どうも〜……って違う!」
「いい髪だ、礼を言う」
「いえいえそんな……じゃなくて!」
「名を聞こう」
「なまえですけど!ねえ!話を!聞いてください!」
「ん?」
「ん?じゃなくてですね!」
「髪がとても美味い、ふむ、いい髪だ」
とてもマイペースです。
なんだろう、妖怪って揃いも揃って話し聞かないやつ多い気がする。こうしている間も髪切りの吉継は、もしゃもしゃと私の髪の毛を食している。
一言言わせて、怖い!
かみきりきりまい
20140828
20151124修正
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