諸行無常、百鬼夜行 | ナノ

今回の休日もまた暇です。
白昼堂々イチャイチャしながらやってきたリア充に、破魔弓をぶっ放してやりたい衝動を必死で抑え込みつつ、私は営業スマイルでお守りを売って差し上げた。神社の繁栄に貢献してる私えらい!

ご機嫌で帰っていくイチャイチャリア充を鬼のような形相で睨み付けつつ、延々と続く暇をどうやってやっつけようかと頭を悩ませた。
いつぞやの如く、また不思議なことが起きないかなあなんて思ってみてもそんな都合良く「……お前、私が見えているな?」起きたー……。

唖然。
社務所から神社の庭をぼーっと眺めていると、黒いものがひらひらと舞って、誰かがどこかで何か燃やして出た煤かなーくらいに見てたら煤じゃなかった。
羽根だった、黒い羽根。そしてブワッサァ!って背中の大きな黒い羽根を羽ばたかせて何かが降り立ったんだ、修験者?山伏?みたいな服の……人じゃない、ヒトの形をした何か。


「おい」
「こ、こんにちはー」


とりあえず挨拶、多分恐らく妖怪の類だと思うの。いや絶対そうだ、この前も陳宮と名乗る猫又が来たばっかりだったから、暇が潰せて嬉しい反面、今度のお方は雰囲気がちょっと怖くて正直とてもビビっている。
きっと天狗だ間違いない、しかも相当位の高そうな。


「この時勢に珍しい、何故私が見える」
「さ、さあそれは私にもさっぱり……」
「私は大天狗、于禁」
「あ、ご丁寧にどうも、三戦國神社のお留守番参謀なまえです」


やっぱり予想通り天狗だった。


「ではなまえ、聞くがこの辺りで妙ちきりんな猫を見かけなかったか」
「猫ですか」
「以前私の山に無断で入り込み、川魚を食い荒らしたのだ、私としたことが処刑執行し損ねてしまい逃げられてしまったゆえ」
「へ、へえ……」
「赤が混じった紫の毛色の猫又だ、私が見えるのであればそれも見えるはず、見かけなかったか」


見たも何も心当たりも何も、社務所の奥の座敷でぐうすか寝てます。それって完全に陳宮さんのことですよね。


「えと……」
「どうなのだ」
「その……」


言うべきか、言わざるべきか。
究極の選択!ずいっと身を乗り出してきた于禁さん、口ごもる私。ど、どうしよう!


大天狗様の襲来

20140619
20151124修正
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