産卵ですがちょい虫注意?みたいな感じです。産卵なので表現がスカっぽくないこともないですが大したことないし濃くもないです。 「っぐ……!う…ぅ、いってぇ……」 十分ほどだろうか、風丸と抱き合いそのままでいたが、俺は急激に襲ってきた腹痛に呻きを上げた。 触手の卵でいっぱいになった腹はぱんぱんに膨れ上がり、中で何かがぼこぼこと蠢いているのが皮膚の上からも確認できる。風丸からの愛情に心酔しきっていた心も急激に冷め、再び吐き気がこみ上げた。俺は縋るように風丸の手首を強く握る。 「風丸、たすけっ、助けて、俺やだ、こんなの産みたくない」 俺の言葉を聞いた風丸は一瞬なにか考えるような表情になるとすぐに破顔し、俺の身体を地面にゆっくりと押し倒した。仰向けに寝転び大きく足を開かされた俺は、不安げに風丸を見上げる。 「何言ってるんだ円堂、これは、俺とお前の子供だろう」 そう言うと同時に唐突に突っ込まれた二本の指で尻穴をぐちゅりとかき回され、身体をびくりが跳ねた。んぐ、と息を詰めてぎゅっと瞼を閉じる。あまりに気持ちがよすぎて目の裏がちかちかする、きっとこれは風丸の指だからだ。 じんじんと頭や腹の奥が熱を孕み出す。強い痛みと快感に身をよじらせ風丸を呼べば、風丸は指を引き抜き俺の額に優しく唇を落とした。 「がんばろうな、円堂」 「あぐっ、いっ…て、あ……んんっ」 徐々に入っているものが押し出され、その蠢きながら下りてくる感触にずんと腹が重くなる。痛みに喘げば、また俺の上半身を支えてくれている風丸が強く手を握ってくれるから、安心した。そうだ、これは風丸と俺の子供、なんだった。風丸の言葉を信じきっている俺は、考えるだけで頭の中が熱くなった。男である俺が風丸の子供を産めるだなんて、幸せすぎて頭がおかしくなりそうだ。 「く…ああ゙あ!」 腹の奥がどくどくと脈動する。ずる、ずる。もう、すぐそこまで、こどもがおりてきている。熱さと痛みにかぶりを振りながら、以前よりどこか大きくなったように感じる掌を握りしめる。 ぐじゅ、と濡れた音を立てて子供が俺の中から頭を出した。10センチほどの、ぬらぬらと光る幼虫のようなものだ。何十何百と卵を植え付けられた俺の腹からは、次々に異形が産まれてゆく。 「ぎぃっ…あぁあ゙あぁあ゙!」 ひいひいと泣きながら、子を産む痛みに耐える。しかし、どこかで自分が別の熱を孕んでいることに気付いていた。俺の掌から風丸の掌に熱が伝わり、その熱さが温度を高めてさらに俺に返ってくる。そしてその熱が、身体中に広がる。全身が、熱い。風丸が見守ってくれているんだから、がんばらなくちゃ。 びちゃびちゃと俺の中から産まれる子供は、ひとつひとつの姿形が違っている。大きな芋虫のようなものから、蛭のようなものと、さまざまだ。その全てが俺から出ては床でびちびちと濡れた音を立ててのたうちまわる。 中にはまだ蛙の卵の姿をしたままのものもいる。俺はそれら一つ一つに愛情を抱き、孵化と成長を待ち望んでいた。風丸と俺の子が、どうか元気に、立派に成長してくれますように……。 「あっ、はっ、はぁ、んあっ、あっ」 腹の膨らみも大分おさまり産まれてくるものの量も減ってきたころに、背筋にぞくぞくとしたものが走った。まだ腹は痛いのに、出ていく感覚が、どうしようもなくきもちいい。俺のものはゆるく立ち上がって、はしたなく透明な体液を垂らしている。 腸内にぶちまけられた触手の精液と、わずかな子供と、卵の残りカスをひり出しながら風丸を見上げると、濡れた瞳と視線が交わった。その瞳がだんだんと近づいてきて、距離がなくなる。唇には、柔らかい感触。久しぶりのキスだった。そして、風丸に愛情を感じてから、初めてのキスだった。 互いに薄く口を開いて、舌を絡める。自分が上手くないことは知っているけれど、風丸を求めるのに必死だった。その間にも尻穴からは幼虫が飛び出て、俺は喘ぎを抑えきれなくなる。 「はぁ、かぜま、る、んあ」 「ん…は、円堂、よくがんばったな」 風丸に言われて、気付けば俺は、腹の中のものを全て出し切っていた。頭の中はぼんやりと霞がかかったようで、上手く状況を認識できない。とにかく疲労でくたくただった。 眼球を動かすのもやっとだったが、俺は足元を見た。びちびちと、跳ねる、子供。 「かぜまると、おれのこどもだ……」 上手く呂律も回らなかったが、俺の心と身体は幸福感で満たされていた。風丸は微笑んで俺の額を撫でると、俺を甘やかすように囁いた。 「ああ、俺とお前の子供だ。疲れただろう、今日はおやすみ」 その優しくあたたかい声に、俺の意識は白く柔らかい深淵へと沈んだ。 風丸、風丸。愛してる。 |