愛だよ10-3 | ナノ

俺の放った精液に触手が群がっているのを視界の端に捕えた。
「っはぁ、はっ、はっ……」
漸く酸素が肺に入り、白くなった視界が正常に戻る。達したばかりにも関わらず俺の股間はまだ熱いままで、触れられてもいないのにガチガチに硬くなっている。
胸から離れたイソギンチャクのような触手は、俺の脇腹や臍のあたりにじゅるじゅると音を立てながら吸いついている。それだけでも腰が揺れてしまいそうになるのに、乳首に巻き付いたままの細い触手がさらに俺を攻め立てた。

吐息と共に声を漏らしながら身悶えていると、一本の触手が俺の口元に近付いてきた。色こそ緑色であるが、それはさながら男性器だった。その逞しさににごくりと生唾を飲み込む。
濡れた瞳でそれを見つめていると、液体に濡れた亀頭のような部分に頬を擦られた。舐めろ、ということだろう。完全に興奮しきった俺は口を大きく開けて触手を口内に招き入れた。
「んむ、んっ…ぅ…んうう…」
歯を立てないように注意しながら首を動かす。性器に臭い近いに反してその先端から分泌される液体は花の蜜のように甘い。麻痺した脳はその甘露をさらに求めた。強く啜りながら頭と舌を動かし、男性器のような触手を刺激する。するとどっと液体の量が増え、俺は一度触手から口を離すと口内に溜まった液体を唾液と共にごくりと飲み干した。
まるで全身が痺れるようだ。全身に甘さが沁み渡って、頭の中がふわふわとする感覚に目を細めた。今の俺はさぞ恍惚とした表情をしていることだろう。薄く開いた口から熱い吐息が零れる。俺はもう一度眼前でびくびくと脈打つ触手を口内に収めた。

「ふぐっ…!?んん゙ん!?」
口淫を始めた直後、下半身に鋭い快感が走った。視線を下げると、細かな突起の沢山ついた細い触手が一本、尿道口に分け入っていた。頭が焼けるような感覚に腰ががくがくと揺れる。乳首や脇腹、口内、そして尿道を犯されて、脳が弾けてしまいそうなほどに気持ちがいい。
激しい快楽により反射的に太腿を閉じそうになるが、脚に巻き付いた触手がそれを許してくれない。しかし腕に巻きついていた触手はするすると音を立てて離れていった。きつく拘束されていたそこは鬱血して赤くなっている。
開放されたにも関わらず俺はもう抵抗をするなどということを考えることはできなかった。緩慢な仕草で腕を伸ばし、口に含んでむしゃぶりついている触手をゆるく掴んだ。
「んうゔ!ん゙っ、んぐっ!」
ぬちゃぬちゃと触手を手と口で扱きながら、自らは性器の内部を擦られる。喉の奥から甘い声がついて出て抑えることができない。舌を擦られるだけでもたまらなかった。

息苦しさに耐えられず、触手から口を離し大きく空気を吸い込む。
「はぁっ、あうあぁああっ!は、はぁ、あ゙ああ!」
瞬間、尿道に入り込んだ触手がぐっと奥まで入り込む感覚がし、全身が硬直して頭が真っ白になった。確かな絶頂感。尿道と細い触手の隙間からぼたぼたと精液が零れ落ちる。
気持ち良すぎて苦しくて、辛くて、もう嫌なのに、得も言われぬ幸福感に全身が柔らかく包まれる。混乱と悦びにぼろぼろと涙が溢れて止まらなくなった。
「っく、ひっく、うああ…、ひぐ、うううー……」
子供のようにしゃくりあげて鼻水を啜る。しかし、涙が頬を伝うたびに少しずつ冷静さを取り戻してきた気がする。頭の隅の一番冷静になった部分で今までの自分の痴態を思い返し、ギリギリと奥歯を噛み締めた。

後ろにぬるりと大きな質量を持ったものを宛がわれたことに気付く。微かな冷静さを保ったままの脳は危険を察知し、俺は自由になった手と拘束されたままの脚の筋肉を最大限使いじたばたともがいた。
「いやら、やらあぁあっ!うぐっ…!」
大声で泣き叫びもがくと、ずるりと尿道内の触手が動く。チカチカと目の前が点滅するほどの刺激に、数日前だろうか、風丸が寝る間際に何の気もなく俺に教えたその知識が脳に蘇った。
「尿道からも前立腺って刺激できるんだぜ」
まだ危ないからやらないけどな、と、あいつなりの俺への気遣いを窺わせた言葉。聞いてもいないのに眠たげな声で詳しく説明されたことを思い出す。膀胱のすぐ下の尿道を取り囲むようにして前立腺はあるらしい。
ぽこぽことした突起に前立腺を刺激され視界がスパークし、抵抗を止めてしまう。その隙にぐぷぐぷと音を立てて濡れた触手が尻の穴に入り込んできた。

「〜〜〜〜……!!!」
あまりの快楽に声すら出ない。大きく目を見開いて、固まった全身が痙攣する。指先まで自由がきかないほどの衝撃に、もう何も考えられなくなった。
がはっと咳のような呼吸音が一度漏れる。ずるずると奥まで入っては引き抜かれる刺激に全身が戦慄いた。
(気持ちいい、きもちいいっ……)
身体の中をかき混ぜられるかのような感覚に何度も絶頂を迎える。

「尿道から前立腺弄られて、尻の穴を穿られて、そんなによがって。お前もう男として駄目なんじゃないのか」
「ちがっ、違う!ちがうぅううっ……!ひぎぃっ!あ゙………!」
暫く黙っていた風丸の久々の罵倒に、理性と自尊心ががらがらと崩れ落ちる音が聞こえた。反射的に否定の言葉を吐き出したが、もう、駄目だ。どくどくと心臓が脈打つ。俺はこれから、駄目になってしまう。がつりと音を立てそうなほどに強く後ろから前立腺を突かれ、俺は今日で一番の絶頂を迎えた。