俺の胸のの中で眠りについた円堂を見つめる。すうすうと寝息を立てながら寝ている円堂の表情は落ち着いていたが、やはり疲労の色は隠せなかった。 円堂をゆっくりベッドに寝かせると、枕元のティッシュケースから数枚ティッシュを取り出して円堂の手と股を拭いてやった。 それをゴミ箱に投げ捨てると、周辺に散らかっている円堂のジャージを拾う。それを一枚一枚丁寧に着せて円堂が目を覚まさないことを確認すると、ベッドから降り部屋を後にした。 円堂には早く傷を回復して元気になってもらわなければ、話にならない。また体調を崩されても面倒だった。 それから数日経つ。あれから円堂には一切手を出していない。初めのうちは俺を見ては警戒し続けていた円堂も、今では俺と二人きりでも気を抜くことが大分多くなった。 基本的に円堂を外に出すことは許可せず、風呂やトイレに行く時も常に俺が見張っている。円堂の自由は少なかったが、部屋にサッカーボールを置いてやったら嬉しそうな表情をしていた。 みんなとサッカーがやりたいと沈んだ顔で言っていたが、それでも何も無い生活に比べればボールひとつで円堂の世界は随分と変わるようだった。 外側から鍵を取り付け内側からは開けられないようにした部屋に入る。室内には新しくスチールラックを置き、円堂が俺がいなくても最低限生活できるように物を置いていた。俺がいない間にトイレが我慢できなくなったらペットボトルかエチケット袋に。腹が空いたのなら非常食を。それを食べたのなら歯を磨くよう。 まるで飼い慣らされたペットのような生活だ。そう思いながら一通り言い聞かせてそれなりに不自由のない生活を送れるようにしたのだが、やはり円堂は室内でサッカーボールを転がし続けていた。 「あ、風丸!」 ボールを転がす足を止め、円堂は俺を振り返った。しっとりと汗をかいていて、ずっとボールに触れていたらしいことがわかった。 「…随分と嬉しそうだな」 笑顔で駆け寄ってきた円堂に冷たく言葉を吐く。円堂の笑顔が理解できなかった。なぜこの状況で笑顔でいられるのか。俺は追いつめられた円堂が見たいのに。 予想外の行動を取るのが円堂だとは分かっていても、憎らしかった。苦しんで、悲しんで、俺のものになればいい。 「風丸あんまり喋ってくれないけど、いてくれた方が楽しい。やっぱり一人はつまらないや」 俺の言い放った言葉に返された円堂の発言に、頭の中でなにかがブチリと切れる音がした。 なんなんだ。なんなんだこいつは。俺が今までお前に何をしてきたと思っている。 俺は円堂の肩をぐっと掴んでベッドに突き倒した。いてっ、と円堂の情けない声が聞こえた。俺は靴を脱ぎ捨てベッドに乗り上げると、円堂の肩を抑えつけた。円堂の目には怯えの色が見えて、全身に愉悦が広がった。 恐ろしいだろう。悲しいだろう。今から俺にされることが。なあ、円堂。 「じゃあ、二人で楽しいことしようぜ」 「うう…は、あ、ん……」 円堂の服を全て取り払い、耳の中を触れるか触れないか程度に指で弄りながら乳首を舐めてやると、円堂の身体がびくびくと震える。 空いた手で円堂の腕を押さえつけると、軽い抵抗が見られたがそれもすぐに収まった。乳首を強く吸ったり軽く噛んだりしていると、硬く勃ちあがり充血しだす。 「はぁ、あう……」 「ふ、気持ちよさそうだな」 眉を寄せて声を上げている円堂を笑うと、円堂は何も答えずに押し黙った。荒い息と抑えきれない喘ぎが部屋に響く。 俺は円堂から体を離し、ベッドから降りると部屋の隅の棚を漁る。中からローションにローター、医療用テープ、綿棒を取り出して円堂のもとへと戻った。 円堂はベッドの隅に寄り壁に体を押し付けてこちらを見上げている。明確に怯えが表れていて気分がよかった。 「な、なにするんだ?」 不安げに尋ねてくる円堂を無視し、再びベッドに上がると円堂の前に座る。円堂の肩がびくりと跳ねた。 俺は円堂の顎をぐっと掴み、薄く開いた口に舌を入れる。 「んむ……はぁ、ん…」 逃げるように奥に引っ込む舌を絡め取り強く吸うと、円堂が俺の背に手を回し、服を軽く掴んだ。 (なんだ、案外乗り気じゃないか) 顎を掴んでいた手を円堂の後頭部に置き、さらに深く口付けを交わす。傍から見ればまるで愛し合っている恋人のようだ。 「ん、ん…ふ、ぅ…」 円堂のくぐもった声が口内に響く。薄く眼を開けて円堂の顔を見ると、目を閉じてうっとりとした表情をしていた。 舌を絡ませ、上顎をなぞり、最後に円堂の下唇を軽く舐めて唇を離した。円堂は瞳を潤ませて肩で息をしていて、こいつも好き者だな、と思った。 円堂から体を離し、円堂を上から下まで眺める。怪我の治った円堂の身体や顔はすっかり綺麗になっていて、つまらない。あの数々の傷はまるで俺が円堂の所有者である証のようだと思っていたのに。俺は円堂の肩口に歯を立てた。 → |