俺の身体を洗ってくれたり、医務室に運んでくれたり。無理やりとはいえ風丸のを舐めていたときも優しく撫でてくれて、やっぱり風丸は風丸のままで優しいのかと、思い始めていたのに。 「ぐうう…う…」 まだ痛みに呻く俺の上に風丸が乗り、俺の服を脱がせ始めた。強く頭を打ったせいで体が動かせない。 上を脱がせられ、腕に鳥肌が立つ。風丸の部屋は随分と肌寒かった。風丸がジャージのパンツに手をかけたところで、やっと体が動くようになった。 「なに、するんだよ!」 睨みつけると、風丸は無表情でこちらを見下ろす。風丸は笑うか無表情かのどちらかしかできなくなってしまったのだろうか。 「なにって、だってお前、俺のを舐めてちんこ勃たせてただろう」 「え、」 風丸の言葉を聞き、ぎょっとする。まさか、そんな。 恐る恐る目線を下に下げると、確かに俺の股間はまだ膨らみを持って硬さを主張していた。 「な、んで……」 風丸のを舐めてただけで、なんで。俺は興奮していたのか。絶句してしまう。そうしている間にも、風丸は俺のジャージを下着ごと下ろしている。その手つきが昨晩のことを彷彿とさせて気分が悪くなってきた。 風丸がいやらしい手つきで俺の脇腹や胸に触れる。寒さで立ちあがっていた乳首に触れられた瞬間、体がびくりと震えた。 すると風丸は俺から体を離した。どうかしたのかと思い、風丸を見る。 「なあ、俺の目の前でオナニーしろよ」 「………、」 まばたきをして風丸を見つめる。いろいろなことを考えすぎて頭が痛くなってきた。風丸は動かない俺の手を無理やり掴むと、俺の股に押しつけた。 相変わらず俺の股間のそれはゆるく立ちあがったままで、今更ながら気恥ずかしくなった。顔を赤らめたまま固まっていると、風丸が体を動かした。風丸は俺を座らせると、俺の背後に回って、俺は風丸の股の間に座るようなかたちになる。 「うあっ」 突然風丸が俺の首筋に吸い付いてきて、驚いて声を上げてしまう。風丸はそのまま首や肩、背中を舌の先でなぞる。くすぐったさの中によくわからない感覚が混ざって、肩が上がってしまう。 風丸の熱い息が首筋にかかる。風丸は俺の手ごと俺の性器を包み込むように握り、上下に動かした。 「んっ、あっ!」 自分の掌に擦られ、俺のものがぴくぴくと反応をする。嫌なのに気持ちいいのが悔しかった。 風丸は今度は耳に舌を這わせだした。無理やり下を扱かれるまま、耳の中を犯される。ぴちゃぴちゃと水音が鼓膜に響くたびに、軽く背筋が反ってしまう。風丸の髪が首や背に触れる感覚さえも刺激になった。 「あう、うう…はぁ…あ…」 次第にくちゅくちゅという音が響き始める。風丸の手が俺の手から離れていくのがわかったが、手を止めることができない。風丸は俺の耳を舐めたり噛んだり吸ったりしている。その感覚が明確に快感になりつつある。背筋がぞくぞくして、風丸に体を預けながら自分のものを擦り続ける。 息が荒くなり、次第に手の動きも早くなる。風丸が俺の身体に手をまわし、胸に手を伸ばしてきた。乳首をぐりぐりといじられるとたまらなく気持ちがよくて、さらに声が漏れてしまう。 生理的な涙が浮かんで、視界が潤む。 羞恥心と快楽がない交ぜになって頭のなかがぐちゃぐちゃになる。恥ずかしいのに。いやなのに。どうしよう、どうしよう。 限界が近づいてくるのがわかる。亀頭をぐりぐりと弄ったり、竿をとにかく擦ったり。全ての感覚が気持ちよくてどうしようもなくなる。風丸が乳首を弄る感覚も痛いぐらいなのに気持ちがいい。 「ああ、う、んん……いき、そう…く…」 限界を告げると、風丸ががりりと耳たぶを噛み、乳首を爪で引っ掻いた。それが強い刺激になって、太腿の筋肉が痙攣する。体が大きくのけぞって、頭の中が真っ白になった。 「かぜ、風丸っ、風丸ぅ、うあああ!」 何も考えられなくなって、大きな声が出てしまう。その上ずった声がまるで自分の声ではないようで、自分がなにか別のものに変わって行ってしまっているようで、怖かった。 全身から力が抜け、体重を風丸の胸に預けくたくたになってしまう。荒く息をつきながら薄く眼を開くと、手にべっとりと自分の精液がついているのが見えた。 風丸は胸から手を離すと、首筋に顔をうずめて腕全体で俺の身体を抱きしめた。疲労で異様な眠気が襲ってくる。 急激に落ち始める意識の中、低い風丸の声が聞こえた。 「愛してるよ円堂。だから、なぁ、俺のことも愛してくれよ」 |