愛だよ7 | ナノ
大スカと嘔吐の描写がありますのでご注意下さい。






7風丸視点

円堂の口の中は傷だらけだろうから、恐らく食事は摂れない。そう思い、厨房で牛乳をマグカップに入れ温めた。殴って犯したまま放置しておいてなんだが、やはり円堂には死なれても困るのだ。
冷やしていない軟水が入った500mlのペットボトルを脇に抱え、牛乳を零さないようゆっくりと厨房の扉を閉める。厨房には顔を見たこともない研究員がちらほらと軽食を作っているのが見えたが、廊下は閑散としていて人の気配すらなかった。
俺の足音だけが響きわたる。反響するその音を聞きながら歩いていると、自室の前に辿りついた。
円堂はどうしているだろうか。きっと泣きごとの一つも漏らさないだろうから、まだしばらくは追いつめるように犯し続けてやろうか。
泣き叫んで許しを請うて、こちら側に堕ちるまで。

塞がった方とは逆の手で、ドアを開く。部屋に手を差し入れて、電気のスイッチをオンにした。
「……、えんどう、」
明かりに照らされた円堂を見た瞬間、部屋に飛び入った。室内には異臭が漂っている。部屋の中心にある小さな机にマグカップとペットボトルを置き円堂に近付くと、ベッドのシーツはひどく汚れているのがわかった。円堂の顔色もずいぶんと悪く、その身体はがたがたと震えていた。
「しまったな……」
我ながらいくらなんでもひどすぎたかと悔いた。まさか嘔吐と下痢をするとは思っていなかったのだ。知識もないままに円堂を手ひどく犯して放っておいたのはまずかったか。

部屋の隅の棚からタオルを数枚取り出すと、先ほど机に置いたペットボトルを掴み、中身をタオルに染み込ませた。軽く絞ってからペットボトルのキャップを締め、再び机に戻す。
自身の服の腕をまくり、あまり円堂を動かさないようにベッドのシーツを剥がした。円堂は歯をガチガチと鳴らしながら小さく呻いている。意識があるのかないのかはわからなかった。
剥がしたシーツを丸めてベッド脇に放ると、濡らしたタオルで円堂の身体を拭いてやる。
腹や胸部、腕、顔。身体中に傷や青痣をつくった円堂を見ると、こんなときでさえ可愛いと思ってしまった。しかしここで犯せば本当に円堂が死んでしまうかもしれない。気持ちを切り替えてとりあえず円堂の臀部をタオルで拭う。
手が円堂の肌に触れたが、円堂の身体は異様に熱い。確実に発熱しているとわかり、少々の焦りを覚えた。
臀部の汚れをひとまず落とすと、シーツと一緒にそのタオルも床に落とす。別のタオルを取り、円堂の頭を腕で支えながら口元を傷に障らないよう拭ってやる。
円堂は眉間に皺を寄せ、固く目を閉じている。えんどう、と呼びかけても返事はなかった。やはり意識はないようだ。

それからもう一枚の汚れていないタオルで体全体を綺麗にしてやると、キャビネットから厚手の毛布を取り出し、円堂の身体をそれで包む。
毛布ごと円堂を抱えあげると、俺はシャワールームに向かった。やはり、円堂は目を覚まさなかった。


シャワールームに辿りつくと、壁を背もたれにするように固いタイルの床に円堂を座らせた。シャワーヘッドを手に取り、蛇口を捻ると温度を調節する。冷水から温水に変わったところで座らせた円堂と目線を合わせるように自身もしゃがみ、円堂に湯をかけてやった。
ボディソープを手の平に出すとそれを泡立ててから、円堂の身体に擦りつける。試合が終わって以来ついたままだった土汚れや垢も落ちて、随分と綺麗になった。
血や吐瀉物がこびりついて固まった毛髪にシャンプーをつけると、ごしごしと洗う。業務用のシャンプーの匂いはずいぶんと色気がなかった。
体を冷やされてさらに熱が上がっても俺にはどうしようもないから、早々にシャワーで石鹸の泡を流すとバスタオルで体を拭く。
体を乾かした円堂を毛布に包むと、シャワールームの入り口付近に設置されていた内線電話を救護科に繋ぎ、担架と医者を要請した。


それから研究所内の医者にこっぴどく叱られた。いくらくだらない研究所の職員といえども医者としての仕事はきっちりとこなすらしい。円堂を簡素なパイプベッドに寝かせ適切な処置をした医者の顔は、まるで中学の教師のようだと思った。
アナルセックスをするならゴムをつけろと言われたが、正直な話それをしてやる気は毛頭なかった。今回のことは俺の知識不足が起こした事態だ。それについては反省しているが、円堂に直接触れ、円堂の中に俺の種を注ぎたい。
臆せずそれを伝えると、せめてすぐに処理をするようにと溜息をつかれた。せっかく出した俺の精子をかき出すなんて勿体ないとは思ったが、それくらいはしてやろうと思った。

医者が部屋から出ていくと、ベッド脇のカーテンを全て閉めて円堂のベッドに乗り上げた。仰向けになって寝ている円堂の顔は先ほどよりは大分落ち着いている。俺のせいで腫れていた顔にはガーゼが貼られていて、傷だらけの顔が見れないのは残念だった。
「殴られて泣いてる円堂、可愛かったなあ」
囁くように言ってみても、やはり円堂の目は覚めない。俺は円堂の隣に横たわり、添い寝するかたちになる。円堂の顔が間近で見られて心地よかった。
円堂の寝顔を見つめていると、急激に眠気が襲ってくる。そうだ、昨晩からまだ一睡もしていないのだった。

(早く元気になれよ円堂。でないと、つまらないじゃないか)
俺は落ちる意識に逆らわず、瞳を閉じた。