思春期中学生 | ナノ

ぬちゃぬちゃという水音がいやに耳につく。
ヒロトと円堂は座って向かい合い互いの性器を擦りあわせている最中だった。
どちらも眉を寄せ、瞳を潤ませながら見つめあっている。

「あっ、んん……」
ヒロトがぐりぐりと円堂の亀頭を攻め立てると、円堂は軽く腰を浮かせて悶絶した。
追い打ちをかけるように尿道口を強く抉る。円堂の口の端から唾液がこぼれ落ちる。前だけの刺激でここまで感じられるのだ、上出来だろう。
そのままぐちゃぐちゃと音を立ててローションにまみれた茎を二本合わせて擦る。円堂はッドのシーツをぎゅっと掴みその刺激に耐えようとしていたが、それもかなわなかった。
「い…っ、ああっ、ひ、…ぐ」
下半身に電流が走ったようだった。円堂のぺニスから精液が迸る。荒く息をつき余韻に浸ろうとした円堂をヒロトはそのまま攻め立てた。

「あっ、なに、もっ…もうだめだっ、て、」
眉を下げながら苦しそうに言うも、ヒロトは聞き入れる気はなさそうだった。
「オレまだイってないから」
早口でそう言い、手の動きを早める。達したばかりで亀頭に触れられるだけでも痛いぐらいだというのに、かまわずそこを刺激され、円堂は涙を浮かべた。

数分扱き続け、ヒロトがやっと達する。その間に円堂はもう一度達してしまい、くたくたになっていた。
「ひ、ヒロトの遅漏…」
ベッドにうつ伏せになり、顔だけをヒロトに向けた円堂が恨めしげに呟くと、ヒロトはすっきりとした顔で返した。
「円堂くんはちょっと早いよね」
ヒロトは円堂に背を向けてごそごそと衣服を着だす。

「ねえ円堂くん、そろそろ…」
円堂の顔を見ずに一旦動きを止めてヒロトが口を開くと、円堂は慌てふためく。
「だっ、だめだぞ、まだ!」
ヒロトが言い切らないうちに言葉を遮り大声で言うと、ヒロトはジャージを羽織りながら顔を床に向け、そっか、と呟いた。
そのまま床に散らかっていた円堂の服を取り、ベッドで横たわる円堂に手渡した。顔を赤らめてありがとう、と言う円堂はとてもいじらしいのだが、ヒロトは不満が溜まる一方であった。


ヒロトと円堂が付き合い出して数ヶ月が経つ。FFIもイナズマジャパンが優勝と言う形で終わり、メンバーは各々地元に帰り安息の日々を過ごしている。
ヒロトと円堂の家も近からず遠からず、週に1度は会える程度の場所に位置している。FFI開催中に付き合い始めた二人であるが、ライオコット島に滞在していた頃はせいぜい手を握ることやキスをする程度のことしかしていなかった。
帰国し、互いの家(と言ってヒロトの家はおひさま園である)へ行き来するようになってからは関係はさらに発展した。
部屋で二人きりで過ごしている中なんとなく"そういう"雰囲気になり、ヒロトが円堂を押し倒したのであった。
しかし円堂は、性急に事を進めようとするヒロトを制止し、こう言い放ったのであった。
「俺たち中学生だし、こういうことはまだ早いと思うんだ」


それからヒロトは必死に円堂を説得した。もちろん円堂に対する感情が全て性欲というわけではない。しかし、やっとの思いで恋人となれた相手とまぐわいたいという想いは強くなる一方であった。それは一般的に見て不健全といわれる行為だが、中学生男子としては健全な精神なのかもしれない。
結果、無理をさせない、入れない、という円堂が提案した条件を飲み、今に至るのであった。


あれから何度か性的な行為をし、円堂もそれなりに慣れてきた様子は見られる。そう思い話を切り出したヒロトであったが、やはりというべきか、円堂にはばっさりと切り捨てられてしまった。
しかしヒロトは円堂との性交を諦めることができなかった。
「やっぱり無理やりするしかないのかなあ」
そうごちてはみたものの、それはヒロト自信の円堂に対する愛情とプライドが許さなかった。



あの日以来多忙で互いの予定が合わず、二人が会えたのは実に数週間ぶりであった。その間中、ヒロトは円堂と会うまでにどうにかして円堂の心を開こうと躍起になって考えていた。
そんなことも露知らず、円堂はヒロトを自室に招き入れると突然ヒロトを抱きしめた。
会いたかった、と心細げに言われてしまえばヒロトも我慢できず円堂の背に手を回し、頭をぽんぽんと撫ぜてやる。
暫くそうしてぎゅうぎゅうと抱き合っていたが、ふとヒロトは円堂の肩に手を置いて体を引き剥がした。
「円堂くん、愛してる」
中学生が面と向かって言うには少々クサいとは思ったが、ヒロトは円堂の目を見つめるとそのまま円堂に顔を近づけた。一度唇を合わせてから、舌を差し込む。
「んむ…」
ぬるぬると舌を絡ませると円堂は鼻にかかった声を発する。口を離して円堂の顔を見つめると、円堂は瞳を潤ませていた。
「円堂くん、オレはきみを大事にしたい。でも愛しているんだ。きみが、欲しいんだ」
ヒロトが円堂に「愛している」と言うのは今日が初めてだった。気恥ずかしさからか、今までは好きだとか可愛いだとか、そういった言葉しか与えることができなかったのだ。ヒロトがこの数週間で考え付いたのは、円堂に愛をはっきりと伝えるということだった。

ヒロトはベッドまで円堂の手を引き、そのまま座った。そしてもう一度キスをする。それまで一度も言葉を発しなかった円堂は、ここで口を開いた。
「俺、ヒロトとなら、いいよ」





続きます