0風丸視点 「はは、俺は、俺が…勝ったのか…?」 試合終了を告げるホイッスルが鳴る。静まり返った雷門中のグラウンドでは、マネージャーたちのすすり泣く声だけが暗く曇った空に響いた。 俺は自分がエイリア石の力を借りてダークエンペラーズとなったことに後悔はなかった。自分たちが決して負けることはないと確信していた。いくらあの円堂でも、俺たちに勝つことはできないであろうことはわかっていた。 結果はまさにその通りだった。円堂も新しい仲間と共にいくらか努力してきたらしく、数点入れられてはしまったが、それでも俺たちダークエンペラーズの足元にも及ばない力だった。 試合が終了するころには雷門イレブンはもう立つことすらできず、地面を這うミミズのようだった。 ゴールポストの傍に倒れ伏す円堂に近付く。うつ伏せになったまま動くことができず、体はわずかに痙攣しているようだ。 俺が感じたのは優越感と悦楽。足元にうずくまる円堂の頭を蹴る。叫ぶ力も残っていない円堂はわずかに呻くだけだった。残る力を振り絞ってこちらを睨みあげた円堂の瞳を見ると、背筋をぞくぞくとしたものが駆け上がった。痛めつけられて、ボロボロになって、苦しんで、それなのにまだ屈しようとしない円堂の姿にひどくそそられた。もっと円堂をいじめたい。辱めたい。 「研崎さん」 俺はベンチの傍に立っている研崎に声をかける。この願いだけはどうしても聞き入れてほしかった。 「円堂、持って帰ってもいいですか」 研崎が頷いたのをしっかりと見届けてから、俺は闇に堕ちてから一番の笑みを浮かべることができた。 あれから意識を失った円堂を肩に担いで自室に運び込む。ダークエンペラーズになってから与えられた部屋は研究所の一室で、むき出しのままのコンクリートの壁に簡易な家具が置いてあるだけの無機質で硬質な空気を纏った場所だった。しかし人間を監禁するには丁度良いだろう。壁も薄くはないようだし、誰が泣き喚こうが叫ぼうが、人里離れたこの場所では通報されることもない。 これから始まる俺にとって最高の生活。誰に咎められる事もなく、円堂を好きにできる。胸の中は期待と愉悦でいっぱいだった。 さあ、これから円堂をどうしてやろうか。 風丸が研崎のことどう呼んでるかとかしらねー! |