ミストレとの関係に限界を感じ、一度だけ別れを切り出したことがある。
プライドの高いミストレのことだ。
「俺をふるなんていい度胸だよね!金輪際関わらないでくれ!」
とでも言われると思っていた。
だが、ミストレの反応は俺の予想を覆すものだった。
「この俺と付き合えてるんだよ?君はそれを誇っていい。俺を失った君に何の価値があるというのかな?
やっぱり俺にはお前がいないとダメだ、もう一度付き合ってくれって言ってくるのが関の山さ。
考えたほうがいいんじゃない?」
早口で一気に言われて別れる気も失せた気がする。
そしてミストレの言ったことが正論すぎて何も言えなかった。
俺が別れを切り出したのが「ミストレに相応しくない」という理由だったからだ。
それを正直に言えばミストレは目を見開き少し怒ったような顔でこう言った。
「あのさ、君は何か勘違いしているようだね。俺は君の全てを愛しているんだ。
君の細胞、血液、爪、臓腑、髪の毛の一本、精子の一匹さえ愛している。
馬鹿にしないでほしいな。・・・ここまで言ってまだわからないの?」
だからこいつを手放せないんだよな。

:)

精子の一匹さえ

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テーマ「人外ファンタジー」
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