稲穂様リクエスト..エスミス←兄

今まで何もかもを弟に譲ってきた。
3時のおやつのケーキの種類だって先に弟に選ばせてあげてたし、母が買ってきた家族でおそろいのマグカップの色だって。
そう、何もかもを弟に譲ってきた。
今度は俺が欲していい番だよな?
「エースカ」
「なんだよ」
「ちょっと頼まれ事」
なんだよ、と気だるそうなエスカが階段をおりてくる。
昨日はミストレ君と一緒にいたみたいだし、そういうことだろう。
「で、何」
「あのね、エスカ、よく聞いて欲しいんだ」
エスカはあのマグカップに牛乳を注ぎながら話の続きを促した。
「ミストレ君を、譲って欲しいんだ」
がちゃん。あの時先に選ばせてあげた青いマグカップが音を立てて割れた。
「・・・は?何言ってんの、兄貴・・・」
エスカは目を大きく見開いている。驚いてる、驚いてる。
「だから、ミストレ君を」
「ふざけるな!」
エスカが俺の胸倉を掴んだ。
その拳はふるふると震えていて、怒りを滲ませている。
「・・・ふざけるな?」
ふざけるな、エスカは確かにそう言った。だけど、それはこっちの・・・。
「こっちの、台詞なんだけどね」
一瞬ぽかんとした顔のエスカが目に入る。
「あの時チョコレートケーキを譲ってあげたよな?俺だってチョコレートケーキがよかった。マグカップだってそうだ。俺も青がよかったけどエスカに譲ってあげた。他にも、他にもいっぱい・・・数え切れないくらい、お前に譲ってきた」
息継ぎをしないで一気に喋った。喉がからからだ。
そしてエスカの呼吸も乱れていく、エスカとミストレ君の関係も乱れていく、壊れていく。
がらがらがらがら!!!

:D

稲穂様リクエストのエスミス←兄です。
エスミス←兄からの兄ミス←エスなのにそれっぽくなくてすみません・・・。
きっとこの後バメル兄はミストレちゃんと無理矢理付き合う形になりそうです。
リクエストありがとうございました!
お持ち帰りは稲穂様のみでお願いします。

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