一個前のミストレ視点

「ごめん」
最近の彼はそればかりだった。
私が何を言ってもごめんと謝るばかりで正直むかついた。
いや、むかついていた。
「何が?」
彼にそう問うても黙ったまま。
いつしか私の彼に対する愛情は消え失せた。
「ごめん」
何度この言葉を聴いただろうか。
むかつく、という感情さえ愛情と共に消え失せた。
笑顔だけ顔に貼り付けて痛いと笑った。
「ごめん」
彼はまた謝った。
「別れよう」
私は彼にそう伝えてするりと私を抱きしめる腕を抜けた。
きっと彼が謝っていたのは私に対する愛情が消えたことじゃないのかしら、とか。




110504 エスカバと♀ミストレ


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