俺は押さえていた霊圧を、殺気と共に解放した。
耐え切れなくなり、がくりと膝を折った奴の鳩尾を蹴り上げ、その汚い顔面を踏みつける。
かろうじて立っていた花太を捕まえている奴の刀は、カタカタと音を立てて震えていた。
「おおおおおお前、ひひ人質がっ、見え、見えな、見えないのかああぁっ!!?」
「うるせぇ、喚くな。耳障りだ。公害だ。この世の害だ。喋るな。口を開くな。息をするな。そして死ね」
「なっ…グハッ!?」
別の奴が口を開いたので、顔面を掴んで地面へと叩きつけてやった。
汚かったので、さっさと手を離した。
「そもそもさぁ、花太を人質に取るってことが、愚考というか、愚行なんだよ。今までにお前らみたいな行動取った奴が他にいなかったとか考えなかった訳?あぁ…考えなかったから、今脳無しにも行動してるんだろうけど。そいつらが、成功してたら、俺はここにはいないだろうなぁ?あぁ?」
「う、う、うわあああああぁぁっ!!!」
抜刀して、襲いかかってきた奴の刀と腕の骨を折って、顔面に肘を入れて飛ばす。
残るは、花太を捕まえている目の前の奴、ただ一人。
睨みつけると、刀だけでなく全身ガタガタと震わせて後退していった。
俺の癒やしに手を出したんだから、これぐらいの仕打ちをうける覚悟は出来ていたんだろう?
なのに、今更怯えるってのか?
愚かしい。馬鹿馬鹿しい。
気にせず、間を詰めていく。
「ひっ」
「お前らみたいな単純馬鹿はさ、人質取れば俺が攻撃出来ないとか思い上がっちまうようだけど、本当に俺が対策取ってないとか思う訳?俺が花太を危険な目に合わすと思う訳?お前らが人質にと選ぶほど、俺が大切にしている花太を?そんなことある訳ねぇよなぁ?…はっ、テメェラみてぇな馬鹿共は手遅れだな。一回死なないと直んねぇよ」
喋りながら更に霊圧を上げていくと、もう言葉を発することが出来なくなったのか、魚のように口をぱくぱくと開閉するだけだった。
これ以上醜い物を見たくない。
目の毒だ。吐き気がする。
それに、俺は早く花太に癒されたい。
俺は、にこっといつものように笑顔を、怯えている花太に向けた。
「花太。ちょっとの間目ぇ閉じててな」
「あ、あのっ」
「お願い。俺が良いっていうまで、な?」
「はい…分かりました」
「いい子いい子」
素直に瞳を閉じた花太に満足して頷く。
「お前らに言い忘れてた。お前らのことうちの隊長から殺すなって言われてんだ。治療室も空いてるし、って」
そう言った瞬間、転がっている奴らの目に嬉しそうな光が宿ったのを見て、俺は笑みを深くする。
「でもさ、お前らが治療室にいたら俺うっかり殺しちそうだからさ、九分九厘殺しでいいかなって。要は完全に殺さなかったらいいんだろう?
だからさ、つまり、
しばらく死んでろ」
奴らの瞳が、喜びから恐怖へと変わる。
殺気にあてられて震えながらも、這い蹲って逃げようとする奴ら見ながら、腰に携えていた刀を抜いた。
誰が逃がしてなどやるものか。
「卍解、
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