◆ ◆ ◆ ◆ ◆
その頃四番隊では――
「ねえ一角。これってちょっとまずくないかい」
「ん?何がだ?」
「いや、だって一応僕らあいつらの上官ってことになるでしょ。関係ないって言っても、それを更紗さんが聞くかどうか…」
「そ、それってまずいじゃねぇか!」
「だから、僕はさっきからまずいって言ってるだろ!」
「さっきからって、さっき一回言っただけじゃねぇか!」
「一角のくせして人の揚げ足取ろうなんていい度胸してるね」
「あぁ?やんのかコラ!?」
せっかく気付いた自分たちの危機も忘れて、睨み合う馬鹿な二人を、四番隊の面々はのんきにお茶を飲みながら眺めていた。
呆れたような、むしろ見下したような目で。
「そうやっている間に逃げた方がいいと思うんですけどね」
「馬鹿なんですよ」
「馬鹿なんですね」
「十一番隊のやつら皆ね」
「それにしても、本当に花太郎に手を出すとか大馬鹿ですよねー」
「人質とっても無意味なのにねー」
「そうですよねー。それに更紗さんの暴走止められるの、山田七席くらいしかいないのに、その山田七席を攫うだなんて」
「限定装置付けている相手に、限定解除申請してあげる感じ?」
「あ、それ結構上手いですね!」
隊員が一人攫われているというのに、この落ち着き様。
彼らは、最強である自分達の仲間がこれくらいの事件など、簡単に解決してくれると信じているし、解決と呼べる結果になるかどうかは分からないが、花太郎が傷付くような事態は万が一でも有り得ないということを確信しているからである。
彼が四番隊を大切に思ってくれているのは知っているので、自分たちの被害が及ぶ心配もない。
しかも、今回問題を起こしたのは、言わずもがな大嫌いな十一番隊の野郎共。
そいつらがどう裁かれるのか、そんな面白い事を楽しまな訳はない。
「ねぇ、どうすると思う?」
「俺としては、更紗さんの卍解解放っていうのを期待しちゃうなー」
「雑魚には斬魄刀すら抜かないわよ、あの人」
「でも、恐怖を骨の随というか細胞に刻みこむなら使いそうじゃない?」
「それにあの人、山田七席絡みだと容赦ないじゃん」
「なるほどねー。でも私としては、鬼道の連撃でもいいと思うなー」
「分かる分かるー。何かスカっとするよねー」
のんきにお茶を飲みながら、物騒な予想を立てていく隊員たち。
確実に、隊長の黒さと話題の人物の強かさの影響を存分に受けているのであろう。
今日も今日とて、四番隊は平和でした。
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