「ふんふんふ〜ふん♪」
俺は上機嫌で歩いていた。
さっきの二人の反応は俺的に満足だ。
別にあいつらのことは嫌いじゃないけれど、あいつらは毎日毎日来すぎなんだよ。
毎度相手させられる俺の身にもなってみろ。
しかも角之助は、勝負しろしか言わねえし。
更木が側にいた時にゃ、あいつも便乗して仕掛けて来やがるから更に手に負えねえ。
いい加減分かれよ。
誰がそんな面倒臭いことするかっつーの。
これに懲りてしばらくは大人しくしてくれればいいと思う。
「暇人だよな〜、あいつらも」
というか、あいつら本当に仕事してんのか?
ただでさえ書類苦手だとか言ってるくせに、俺んとこに来たりして。
今度、また十一番隊に書類押し付けられることがあったら、あの2人叩き潰そうかな。
まぁ、あれだけ俺の存在を植え付けてやったんだから、しばらくは四番隊に対して大きな顔は出来ないだろうけど。
書類整理ぐらい自分でやれってな、あの戦闘馬鹿集団めが。
「怪我してる暇あったら、少しは頭鍛えろっての。・・・・・・ん?」
鼻歌を歌い、上機嫌で悪態を吐きながら角を曲がった所で、俺は足を止めざるを得なかった。
・・・おかしい。
ここまで辿ってきた目印が急に途切れている。
曲がり角を曲がってすぐに、歩く方向を示してくれる目印があるはずなのだ。
ここまでずっとそうだったから、元々なかったというのはないだろう。
確かに俺は自他ともに認めるほどの方向音痴だ。
だけど、方向音痴なりにもちゃんと考えてて、よく行く場所への道には、目印を付けて貰っていたのだ。
その目印が消えた。
意図的に消されたと考えるべきだろう。
悪戯されないように工夫は施してあったのだから、通りすがりの仕業の可能性は低い。
とすれば、この目印の存在を知っている人物の仕業と考えられるのだが・・・
この目印の存在を知っているのは、俺の他に三人。
この目印を付けてくれた花太と、れっちゃんと、後一人が、今俺が向かっている目的地の主。
容疑者は三人。
だがしかし、
「間違いなくあいつだな」
推理する必要もなく、消去法に頼る意味もなく、間違いなく犯人はあいつ。
俺が今向かっている場所――十三番隊――隊長の、
浮竹十四郎に違いない。
憎いまでに悪意の無い、爽やかな笑顔が容易に脳裏に浮かんだ。
(口元が引きつってるような気がするけど気のせいだと思いたい)
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