迷い路    [ 38/64 ]

「ふんふんふ〜ふん♪」


俺は上機嫌で歩いていた。
さっきの二人の反応は俺的に満足だ。

別にあいつらのことは嫌いじゃないけれど、あいつらは毎日毎日来すぎなんだよ。
毎度相手させられる俺の身にもなってみろ。
しかも角之助は、勝負しろしか言わねえし。
更木が側にいた時にゃ、あいつも便乗して仕掛けて来やがるから更に手に負えねえ。

いい加減分かれよ。
誰がそんな面倒臭いことするかっつーの。


これに懲りてしばらくは大人しくしてくれればいいと思う。





「暇人だよな〜、あいつらも」



というか、あいつら本当に仕事してんのか?
ただでさえ書類苦手だとか言ってるくせに、俺んとこに来たりして。
今度、また十一番隊に書類押し付けられることがあったら、あの2人叩き潰そうかな。
まぁ、あれだけ俺の存在を植え付けてやったんだから、しばらくは四番隊に対して大きな顔は出来ないだろうけど。

書類整理ぐらい自分でやれってな、あの戦闘馬鹿集団めが。





「怪我してる暇あったら、少しは頭鍛えろっての。・・・・・・ん?」


鼻歌を歌い、上機嫌で悪態を吐きながら角を曲がった所で、俺は足を止めざるを得なかった。

・・・おかしい。

ここまで辿ってきた目印が急に途切れている。
曲がり角を曲がってすぐに、歩く方向を示してくれる目印があるはずなのだ。
ここまでずっとそうだったから、元々なかったというのはないだろう。

確かに俺は自他ともに認めるほどの方向音痴だ。
だけど、方向音痴なりにもちゃんと考えてて、よく行く場所への道には、目印を付けて貰っていたのだ。

その目印が消えた。
意図的に消されたと考えるべきだろう。
悪戯されないように工夫は施してあったのだから、通りすがりの仕業の可能性は低い。
とすれば、この目印の存在を知っている人物の仕業と考えられるのだが・・・

この目印の存在を知っているのは、俺の他に三人。

この目印を付けてくれた花太と、れっちゃんと、後一人が、今俺が向かっている目的地の主。


容疑者は三人。




だがしかし、











「間違いなくあいつだな」


推理する必要もなく、消去法に頼る意味もなく、間違いなく犯人はあいつ。
俺が今向かっている場所――十三番隊――隊長の、



浮竹十四郎に違いない。



憎いまでに悪意の無い、爽やかな笑顔が容易に脳裏に浮かんだ。
(口元が引きつってるような気がするけど気のせいだと思いたい)




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