懐かしき友    [ 21/64 ]

白坊こと朽木白哉と出会ったのは、彼がまだ小さかった頃だった。

どういう経緯でそんな話になったのかはもう忘れたけど、当時の朽木家当主に次期当主の教育係(というのは名ばかりで実際は遊び相手?)を頼まれて会いに行ったのがきっかけ。

あの時の俺も、今と全く変わらない性格(面倒臭がり)だったから最初は断ったんだけど、色々あって(れっちゃんに脅されたり、れっちゃんに脅されたり、れっちゃんに脅されたり…)、結局朽木家に行くことになった。






『藤城朽木家に、『嫌』……まだ何も言っておらんが、』

『面倒臭そうだから嫌ぁ〜』

『お主は子ども好きじゃったろう?』

『ちっちっち。分かってないなぁ。好きと面倒臭いは別ってやつ』

『うむ…』

『そゆことで、もう帰って――『相も変わらず我儘じゃな、のぉ卯ノ花四番隊隊長殿?』』

『本当ですね。どうやら教育し直さなくてはいけないですね』

『…アハハハハ。イヤダナァ、謹ンデオ受ケサセテイタダキマスヨ?』



と、まあこんな感じだ。

…あの時見たれっちゃんの笑顔は忘れられない。
(ただでさえトラウマだというのに!)

いつもは俺が四番隊空けるのに渋るれっちゃんが了解したってことは、多分裏で取引があったに違いない。
現にあの後、四番隊は金の回りが良くなった。
茶葉の値段が高くなったり、お茶の際に毎回お菓子(しかもたいていが名店)が食べれたり、薬の質が上がったり…などなどだ。


そんな訳で、れっちゃんに売られる形で俺は5年という歳月を朽木家で過ごすこととなってしまったのだ。
(ちなみに期間は後から知って、あの時ほど人の話を聞けば良かったと思ったときはない)



で、そこで出会ったのが、マセてて可愛くて、生意気で可愛くて、負けず嫌いで可愛くて、矜恃がやけに高くて可愛い、クソガキこと白坊だったというわけだ。




「ほう…。更紗兄上はそんなことを思っていたのか」

「だって第一声目が『誰だ貴様』だったら、誰だってクソガキだと思うだろう?」

「あれは更紗が庭の木の上で寝ていたのが悪い」

「しょうがねぇじゃん。前にも言ったけど、道に迷ってたんだから。それにクソガキとは言ったが、すべて可愛いに繋がってるからいいだろ?」


威圧感バリバリに問い掛けてくる白坊に、にっこりと笑って返すと眉間に皺を寄せて、照れたようにそっぽを向いた。



「白坊のくせして、俺に勝とうなんざ百万年早いんだよ」

「・・・」


からかうように皺のよった眉間を小付いてやると、余計に皺がよった。
昔と変わらないその反応を見てけらけらと笑う。

いやぁ〜大きくなってもやっぱ白坊は白坊なんだな!安心した。



「ていうか呼び捨てかよ。別にいいけどさ。年上は敬えよ」

「別に良いと言うなら良いだろう。それに、立場的には兄より上になったみたいだがな」


挑戦的な目で反撃に出てきた白坊の言葉に、思わず目を丸くする。

そういえば、よく見てみると白い羽織着てるなぁ。

そう。白坊が着ていたのは、先程別れた第二の癒しこと十番隊隊長日番屋冬師郎、そしてれっちゃんこと四番隊隊長卯ノ花烈が羽織っていたものと同じものだった。

――それは隊長の証。


目を丸くした状態で羽織を見つめる俺に、白坊は呆れたように溜め息をついた。




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