花太とは違う可愛さ    [ 14/64 ]

「……おい」





不機嫌な声がぽつり。


発信源は言わずもがな少年である。



「そんな噂はどうでもいい。俺が知りたいのは、何で、その噂の奴がここにいるか、だ」

「俺が知りたいのは少年の名前なんだけど?」



結局怒られちゃった。

なんて思いながらも、負けずに少年の真似をして質問した。








「はあ………説明したら教えてやる」

「ん〜と、書類届けてって言われて六番隊に向かったはずが『ここは何処?私は誰?』状態に。どうしよっかな〜って悩んでる時に少年が現われて、精神的に疲れていた俺は神の思し召しと思い、癒しを求めて少年に抱きついたわけ。以上説明終了!
で、少年の名前は?」



俺は、少年の名前が知れるならめんどくさい説明もなんのその、さっきまで渋っていたのが嘘のようにちゃんと説明した。

俺の変わり身の早さにさすがの少年も怒る気力を失ったのか、ため息をつかれた。




「四番隊から六番隊行くのにどこをどう間違えたらここにつくんだ…」

「更紗って方向音痴なのねぇ」

「ちなみにここどこ?」

「・・・十番隊だ」



少年の言葉からすると、どうやら六番隊は見当違いの所にあるらしい。
というか、十番隊の隊長が知らぬ間に変わってた事実。


まあ今はそんなことより――




「ちゃんと説明したんだから、早く少年の名前教えてよ!」



今は六番隊なんかよりそっちの方が大事なんだぞと、少年に詰め寄れば、また溜息をつかれてしまった。

幸せ逃げるぞ。





「十番隊隊長、日番谷冬師郎だ。俺が言うのも何だが各隊長の名前と顔くらいは覚えとけ」

「えぇ〜、めんどくさい。六人ぐらいはちゃんと知ってたもん」

「お前なぁ…」

「いいのいいの。こうやって気に入った人だけ名前知っていればいいんだから」

「あっ隊長照れてる」

「…うるせえ」



俺の遠回しな告白もどきに照れて、乱ちゃんにからかわれた少年。

かわいいかわいいかわいい…っ!
花太とはまた違った可愛さがあるっ!

花太は天然だから、こういうこと言っても素直にお礼返されちゃうんだよなー。
いや、それも可愛いんだけどさ。
花太ならなんだって可愛いんだけどさ!


日番谷冬師郎っていうのかぁ〜





「じゃあ、とーしろー」

「…テメェ呼び捨てとはいい度胸だな」

「呼び捨てじゃない。俺は冬師郎じゃなくて、とーしろーって呼んだもん」



これも列記としたあだ名なんだ!と胸を張って言えば、渋々了承してくれた。
(というか何を言っても無駄だとわかったんだろう)

第二の癒しはとーしろーで決定!




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