ということで、そろそろ反撃を開始することにした。
ふぅと溜息をもう一度吐く。
ああ、面倒臭い。
「あっそ。それがどうかした?」
「何っ?!テメ…」
「そうやって十一番隊十一番隊って言うけど、どうせただの下っぱなんだろ?」
「ふざけてんじゃ…」
「そうやって激昂するのは図星ってことなんだよ。バーカ。あっ間違えた。馬と鹿が可愛そうだから脳無しになったんだった。ということで馬鹿改め脳無し。十一番隊の名前を自慢したいんなら、もっと十一番隊らしい働きをしてからにしろ。他の奴らに失礼だろうが。むしろお前らの存在自体失礼だけど。目障りだからさっさと消えてくれない。これ以上、むさ苦しい顔見たくないんだよね」
言いたいことを言いたいだけ言って、おまけとして鼻で笑って締めてやった。
怒りに震える能無し共。
怒りで何か仕掛けてきたらこっちのもの。
やっぱ世の中正当防衛だよな。
いざこざ起こすと後が面倒だから、そこらへんはきちっとしとかないと。
「この、四番隊風情が…っ!!」
案の定というか、どこまでも典型的というか、能無し共は殴りかかってきた。
右手に一人、左手に一人と拳を受け止めて掴み、残りの一人は踵落としで地に沈めて踏みつけて拘束した。
弱い…本当にこれで自分が強いとかよく思えるよね。
恥ずかしい奴ら。
「な…っ!?」
「よっわ」
「ふ、ふざけんなっ!?」
「俺らが四番隊の奴ごときに負けるわけ…」
「それが脳無しって言ってんだよ。お前ら四番隊の有り難味が全くわかってない」
「はあっ?何言っ…」
「例えばお前らのその傷」
そう言って、さっきこいつらが殴りかかってきた時に付けておいた傷を指差した。
痛みを感じないように付けたのだから痛くはないはずだし血も出ていない些細な傷だ。
いや〜痛みを与えないなんて俺って優しいよね。
ただしぱっくりと切れている様は見ているだけで痛い気がするが。
脳無し達は傷をつけられたことに全く気付いていなかったようで(ほらやっぱ能無しだ)、驚いた顔で自分の腕の傷と、自分と全く同じ場所につけられた仲間の傷を見ていた。
間抜け面。
初めて男達の表情に狼狽の色が浮かんだ。
「例えば、その傷。俺たち四番隊がいなかったらどうなる?」
「そっそんなの知るかっ!」
まだ少し威勢が残っていたのか脳無し三が吠えた。
予想通りの展開にくすりと笑みをこぼす。
「なら教えてあげようか?」
ひどく楽しそうに俺は笑っていたのだろう。
本能的に危険を察知した能無し共が逃げようともがきだした。
逃がすつもりなんて無いから、手足に力を込めた。
全く動かなくなった体に戸惑っている三人。
それにまた笑みを深めて、話を続ける。
「まずは細菌が入るよね。そしてそこから化膿する」
俺の言葉に反応するかのように傷から膿がじわじわ溢れてきた。
じわじわ。じわじわと。
あんなに威勢が良かった男達は、もう恐怖しか浮かべていなかった。
どうやら声も出ないようだ。
声にならない声を上げて、口をぱくぱくと開けていた。
まだだ。
「そうだな〜。そのまま放っておくと、もしかしたら壊死するかもしれないなぁ」
先程と同じように、言葉に反応して、今度は傷が壊死して色が変わっていく。
「ひぃ…っ」
「もしかしたらそこからどんどん腐っていくかもしれない」
トドメとばかりに、じわじわと傷から腐食が広がっていく。
傷口は見るも無惨な色になっていた。
あ〜あ、腐っちゃった。
「それから次は…」
「やっやめてくれっ!!お願いだっ!もうやめてくれっ!頼むっ!」
次はどうしようかと口を開こうとしたら、脳無し一が泣き叫んだ。
何だ。
もうお終い?
*前 / / 次#