そこはDグレの世界でした。    [ 10/159 ]

「誰でもいいからとか言っちゃってゴメンナサイ。でもさ、誰だってまさかこんなのが出てくるとは思やないよね。予想外だよ!!」


とりあえず俺は見つからないように瓦礫の影に隠れた。
まずはこんがらがった思考をどうにかしたい。

落ち着け落ち着け相模世羅。


学校で居眠りして、
亮ちゃん先生怖くって、
音読して、
疲れて、
翔と帰って、
翔は相変わらず冷たくて、
にゃんこを追って路地裏に入って、
迷子になって、
そしたら何かいきなり英国風で、
しかも廃墟っぽくて、
とりあえずこれは夢じゃなくて、
ほっぺた痛くて、
そしたら後ろの家が壊されて、
爆発音で、



それで…







それで、謎の物体X。
謎の浮遊物体X。







・・・







落ち着け!落ち着くんだ俺!

で、でも、まさかあんな…あんな…



D.グレに出てくるアクマみたいなのが出てくるなんてっ!!
てか、現実にあんなん有り得るかっ!?






・・・







「って俺今何て言った!?D.グレのアクマって…」


俺は隠れている瓦礫から少し身を乗り出し、ばれないように目の前のアクマ(仮)を見た。




機械の塊っぽいよな?

――ぽいね。



…ボール形だよな?

――うん。丸っこいね。




…な、なんか顔みたいなのついてるよな…?

――うん。悪夢に出てきそうなのがついてるね






……じゅ、銃っぽい突起物ついてる、よな……?


――うん。ばっちり。









結論:どこからどう見てもアレは立派なLv.1のアクマ。






―――以上脳内会議終了。

結果あれはアクマ。


えっ?えっ?
日本にアクマっていたっけ?
てかそもそもアクマって現実のものじゃないよな?
マンガの中の空想のものだよな?
あれ?
そういえばD.グレって英国風?
しかもちょっと時代的には前?
さっき俺初期の頃の電話見たような?
あれもしかしてアンティークとかじゃない…?




…ってことは…?
もしかして…?

もしかしなくても?









「ここD.グレの世界いいいぃぃぃいいいいいい!!!!?」  ドォン



幸運にも俺の渾身の叫びは破壊音にかき消され、目の前のアクマに届くことはなかった。
今はそんなこと気にする余裕なんてないけど!



うそっ!?マジで!?何で!?

えっと何だっけ…

そう!
俗に言う異世界トリップってやつ!?
そんなマンガみたいなことあっていいの!?
ありえないだろっ!?
でも、目の前のアレは現代の技術でも不可能でしょ!?
てか作れたとしても軍用以外になんかある!?
マスコミが放っておかないよな!?


いや、今はそんなことより、
ここが仮にもしかしてまさかD.グレの世界だとしたら…




アクマは本物=目の前にはアクマ=俺ピンチ…?






「・・・」


嫌な汗が頬をつたった。
心なしか周りの温度が少し下がった気がする。
足がガクガクと震えてきた。

やばいやばいやばいっ!
今まで平和な暮らししかしてきてない俺が勝てるわけ…っていうか逃げれるわけもないだろ!?
エクソシストエクソシスト!!
どっかにエクソシストいないのかよっ!?
アレン、神田、ラビ、リナリー、ブックマン!!
いや欲張りました!!
他の知らない人でもいいからっ



誰か助けて!!




目を瞑ってひたすら祈り続けた。
神様になのか両親になのか、誰に祈ってるのかもう分からないけれど、ただひたすらに祈り続けた。



だが、現実は厳しかった。
辺りを見渡してみたが当然、ヒーローのごとくやってくる者はいなかった。
ヒーローは遅れてくる法則だとしたら遅すぎる。
手遅れパターンにしかならないって!!



ピンチ+俺一人=絶体絶命




頭の中で赤ランプが点灯した。


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