「誰でもいいからとか言っちゃってゴメンナサイ。でもさ、誰だってまさかこんなのが出てくるとは思やないよね。予想外だよ!!」
とりあえず俺は見つからないように瓦礫の影に隠れた。
まずはこんがらがった思考をどうにかしたい。
落ち着け落ち着け相模世羅。
学校で居眠りして、
亮ちゃん先生怖くって、
音読して、
疲れて、
翔と帰って、
翔は相変わらず冷たくて、
にゃんこを追って路地裏に入って、
迷子になって、
そしたら何かいきなり英国風で、
しかも廃墟っぽくて、
とりあえずこれは夢じゃなくて、
ほっぺた痛くて、
そしたら後ろの家が壊されて、
爆発音で、
それで…
それで、謎の物体X。
謎の浮遊物体X。
・・・
落ち着け!落ち着くんだ俺!
で、でも、まさかあんな…あんな…
D.グレに出てくるアクマみたいなのが出てくるなんてっ!!
てか、現実にあんなん有り得るかっ!?
・・・
「って俺今何て言った!?D.グレのアクマって…」
俺は隠れている瓦礫から少し身を乗り出し、ばれないように目の前のアクマ(仮)を見た。
機械の塊っぽいよな?
――ぽいね。
…ボール形だよな?
――うん。丸っこいね。
…な、なんか顔みたいなのついてるよな…?
――うん。悪夢に出てきそうなのがついてるね
……じゅ、銃っぽい突起物ついてる、よな……?
――うん。ばっちり。
結論:どこからどう見てもアレは立派なLv.1のアクマ。
―――以上脳内会議終了。
結果あれはアクマ。
えっ?えっ?
日本にアクマっていたっけ?
てかそもそもアクマって現実のものじゃないよな?
マンガの中の空想のものだよな?
あれ?
そういえばD.グレって英国風?
しかもちょっと時代的には前?
さっき俺初期の頃の電話見たような?
あれもしかしてアンティークとかじゃない…?
…ってことは…?
もしかして…?
もしかしなくても?
「ここD.グレの世界いいいぃぃぃいいいいいい!!!!?」 ドォン
幸運にも俺の渾身の叫びは破壊音にかき消され、目の前のアクマに届くことはなかった。
今はそんなこと気にする余裕なんてないけど!
うそっ!?マジで!?何で!?
えっと何だっけ…
そう!
俗に言う異世界トリップってやつ!?
そんなマンガみたいなことあっていいの!?
ありえないだろっ!?
でも、目の前のアレは現代の技術でも不可能でしょ!?
てか作れたとしても軍用以外になんかある!?
マスコミが放っておかないよな!?
いや、今はそんなことより、
ここが仮にもしかしてまさかD.グレの世界だとしたら…
アクマは本物=目の前にはアクマ=俺ピンチ…?
「・・・」
嫌な汗が頬をつたった。
心なしか周りの温度が少し下がった気がする。
足がガクガクと震えてきた。
やばいやばいやばいっ!
今まで平和な暮らししかしてきてない俺が勝てるわけ…っていうか逃げれるわけもないだろ!?
エクソシストエクソシスト!!
どっかにエクソシストいないのかよっ!?
アレン、神田、ラビ、リナリー、ブックマン!!
いや欲張りました!!
他の知らない人でもいいからっ
誰か助けて!!
目を瞑ってひたすら祈り続けた。
神様になのか両親になのか、誰に祈ってるのかもう分からないけれど、ただひたすらに祈り続けた。
だが、現実は厳しかった。
辺りを見渡してみたが当然、ヒーローのごとくやってくる者はいなかった。
ヒーローは遅れてくる法則だとしたら遅すぎる。
手遅れパターンにしかならないって!!
ピンチ+俺一人=絶体絶命
頭の中で赤ランプが点灯した。
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