「あっ!世羅!」
「アレン!もう大丈夫なのか?」
久しぶりにあった世羅。あぁ何だか前よりかわいくなったように見える!!
ラビは入るなり壁にもたれかかって、ふてくされている。
はっは〜ん。何かあったみたいですね。まぁざまみろって感じです。
「はい!…それにしても遅かったですね」
黒い所を微塵も出さない必殺の爽やか笑顔を浮かべる。
「ラビから、アレンがコムイさんとミランダさんの話してたって聞いたから、俺ら邪魔になるし、ゆっくり行こっかってことになったの」
「へぇ〜…そうだったんですか。別に気を遣ってもらわなくても良かったのに」
あの野郎やっぱり世羅を独り占めしようとしてたんですね?
ちっ…やっぱり自分で呼びに行けばよかった……
「世羅も大丈夫ですか?ずっと自宅療養だったって聞きましたけれど…」
世羅の看病をしたかったのに、任務なんか入れやがって…!!
言いますけど僕あの後(コムリンの事件)から一度世羅に会ってなかったんですよ?!
「あぁ、大丈夫大丈夫!ばっちし回復!」
「そうですか。良かった。僕ずっと世羅のこと心配してたんですよ?」
「ありがと〜!俺もアレンのことずっと心配してたよ!!」
「あはは。ありがとうございます」
ここで、はにかんだ笑顔を浮かべてかわいさを売り込む。
いや、かっこいいって思われた方がいいんだけど、まずはポイントを集めなきゃ。
思惑通り、世羅からも可愛い笑顔が返ってきた。
まぁ今の所、僕の圧勝かな?なんて、世羅から見えないように(ラビには見えるように)ニヤリと笑った。
ラビは青筋を浮かべる。
この状況で、どんな手を打つか観察していたら、なんといきなり泣き真似をし始めた。
「いいさいいさっ!どうせオレなんか世羅にとって無視してもいいようなどうでもいい存在なんさ!オレのこと嫌いなんさ!!」
膝を抱えて下手な泣き真似し出したラビ。ウサ耳なんか出しちゃってますよ…。
全く誰がこんな手に引っ掛かるん―――
「らっラビ……ラビごめんね!俺が悪かった。次からは無視しないように気を付けるから!!それに俺ラビのこと嫌ってないし!!」
引っ掛かかった!?
そうか…世羅が単純なのを忘れていた…(その単純な所も可愛いんですけど)
それに見るからに動物好きそうじゃないですか!!
あの一見何の意味もないようなウサ耳が絶大な意味を持っているなんて…!!!
あなどっていましたね…。ラビは神田と同じくらいに厄介な敵です!
ここまで計算できるなんて…(計算なら僕も負けませんけど)
「ほんと?」
あなたが首を傾げてもちっとも可愛くありません!
「ほんとほんと」
あぁ世羅、そんなのに引っ掛からないでくださいよ!!
「世羅〜!!!好きさ〜!!!」
ブチッ
おい、いい気になってんじゃないですよ?このエセ兎。
何勝ち誇ったような笑み浮かべてるんですか?
黒さなら負けませんよ?
覚悟しておいて下さいね?
(2007.02.10)
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