言ってみて気付いたんだけどラビはもう小さい子じゃないんだから素直に聞くはずないんじゃ―――
「!それは困るさっ!!」
ふっと肩に掛かっていた重みが消えた。
――効果覿面だよっ!!!
ちょっと驚きながらも振り返る。
しょんぼりしているラビを見て、思わず笑ってしまった。だって――
ラビにウサギの耳が付いてるように見えるんだもん!
しかも耳はしょんぼりと垂れているし…
なんかラビかわいいかも…
『はぁお前目いかれたんじゃねぇのか?こんなん18にもなるガキがやったって気色悪いだけだ』
(いや…でも…ウサギが……)
そう。自分で言うのもなんだけど無類の動物好きなのだ。
いや、本当に見知らぬ猫を追いかけて異世界来ちゃうくらい好きなんだって。
あれ、これちょっと自虐っぽくなった。
「世羅…?怒ってないさ?」
そう恐る恐る聞いてきたラビに怒ってるって答えてやりたかったのに(だって黒燿の殺気は生きた心地がしなかったんだもん)、なのにっ、言えなかった。
やっぱウサギの耳が…っ
「…いや。全然怒ってないから」
「じゃあまた抱きついていい…?」
『こいつまた性懲りもなく――』
「うん。いいよ」
『おい!』
今だに垂れ耳なラビに黒燿の声を遮って答えるとラビの目が輝いた。
耳もピンと伸びたように見える。幻だとは分かってるけどっ…
今ものすごくラビを撫でたいっ!!
「(これ使えるさ♪)」
ちなみにこの時、ラビは世羅攻略の一つの武器(ウサ耳)を発見したのであった。
『おい!世羅!!』
(なに?スキンシップくらい許してあげなよ)
だってティキのスキンシップに比べたらラビなんてかわいい方じゃん!!
『お前そんなんだったらいつか――』
「世羅〜♪」
今度はラビが黒燿の声を遮りながら、また抱きついてきた。
次は正面から。
あれ?結局、言うこと聞いてなくないか!?
「うわっ!ほらそろそろ行かないとコムイさんが――
「こらー!!そこっ!何ぐずぐずやってるのさ!!!早く僕のリナリーを診てくれー!!!!!」」
タイミングよく病室だと思われる所の窓からコムイさんが乗り出し叫んだ。
ここ病院なのに…っ!!!
「やばっ!ラビ・ブックマンさん早く行こ!!」
「…っ!?」
今度は素直に離れてくれたラビの手を急いで引き、先にすたすたと歩いていたブックマンを追い掛けた。
あれ?なんでラビの耳垂れてんの?
*prev / next#