路地裏を抜けると    [ 9/159 ]

「お〜い!にゃんこ〜何処だ〜?」


猫もどき(仮)……長いからにゃんこでいいや、を追いかけて早10分。

ぶっちゃけ言うと俺、

迷子です。




ごめんな、翔。
大丈夫とか言っときながらしっかりと迷子になっちゃったみたい。

こんなこと知れたらまた毒舌の嵐だよ…。
あれ精神的にきついんだよな・・・。
チクチクグサグサと刺さる感じで。







「どうしよう…」


とりあえず、迷路ではないけども右手を壁につけて、ひたすら歩くことにした。
歩いている間に何で迷子になったかについて考えてみよう。

にゃんこを追いかけるために路地裏に入ったまでは良かったんだよな。うん。
それから塀とかフェンスの上を通ったり、道無き道を通ったりしたから悪かったのか?
猫に追いかけるのに夢中になりすぎたのが悪かったのか?


そう考えながらもフェンスの上を進んでいく俺。
一応言っておくけれど、馬鹿じゃないからな!
これしか進める道がなかっただけで・・・・・・



・・・・・・でも、間違いなくこれが原因だよなぁ。



現在地の検討が全くつかないのは大問題か。
あっ、一番の問題はにゃんこを見失ったことか?







「にゃんこ〜!マジで何処行った〜!!」


とりあえず、あのにゃんこなら出られる道を知ってるかもしれないと、にゃんこを探すためにひたすら前へと進んでいたら、拓けた所に出れそうな道を見つけた。
大通りに出られればこっちのもんだ!



「やった〜!やっとこの迷路から抜け出せる!!」


俺はそう叫びながら意気揚揚と駆け出した。
駆け出した。
間違いなく俺は目の前に続く道を駆け出しただけなはずだった。





なのに―――










「うっそ……」









迷路の先で待っていたものは、英国風の街並みだった。



今まで続いていた路地裏じゃなくて、一応大通りと言えば大通り。
だけれど、
コンクリートだった地面はいきなり舗装されていないレンガの道路に。
ビル群の中にいたはずなのに、目の前には廃墟っぽい家々。

何より今まで日本にいたはずなのに、いきなり英国風。




……ここらへんにこんなとこあったっけ?






「不思議の国のアリス…?」


まず最初に俺の頭に浮かんできたのは有名な童話だった。

あれか、アリスはウサギを追い掛けて洞穴へぽ〜ん、ワンダーランドにゴー。
んでもって俺は猫を追い掛けて路地裏へぽ〜ん、ワンダーランド(仮)にゴー。

ていうノリなのか。
そんなノリでいいのか。

翔、新発見だよ。
トンネルを抜けたら雪国に着くって言うけど、路地裏を抜けたら不思議の国に着くみたいだ。










――…っておかしいだろ!?










「……ココハ何処デスカ?」



片言で投げ掛けた言葉に答えてくれるものはいなかった。
というか周りに生物と呼べるものがいなかった。






・・・







「俺は何も見なかった!うん。見なかった!よしっ、帰ろう!」


もしかしたら誰かが内々に○○タウンとかそういうのを作ってたかもしれないしっ!
何タウンって聞かれると、むしろゴーストタウンとしか答えようがないけどっ!
もしかしたらこっから生まれ変わる予定かもしれないしっ!
劇的な感じで多分!



自分にそう言い聞かせ、元来た道を引き返そうと振り返ると…――












「…へ?」





そこに道なんてなかった。
あったのは壊れかけた家だけ。

…俺は確か道から出てすぐんところに立ってたはずだよな?
そっから動いてないよな?




――今のは幻覚だ。幻覚。



そう言い聞かせ、前を向き深呼吸して、恐る恐るもう一度振り返った。








「……はぁ…」


2・3回同じことをやってみたが、結果は変わらなかった。
俺の後ろにあるは路地裏ではなく、壊れかけた家。
無意識に動いてたって説を採用して、周りも見てみたがそれらしき路地裏すらなかった。
考えてみれば、これだけ低い建物ばっかなんだからビルの姿ぐらい見えていいものなんだけれど、それすら見えない。



……わかった!これは夢なんだ!

もしかしたら朝、学校に行ったのも全部夢なのかも。
きっと俺はまだ自分のベットですやすや寝てるんだな。
うん。そうだよ!
ほっぺたつねっても痛くはないはず。



痛くな――




「――くない……ってことは夢じゃない…?」



ほっぺたをつねってみたら、痛かった。
思いっきりつねったせいで、じんじんしている。(手加減しとけば良かった)

とりあえず夢じゃないのは認めよう。




……じゃあここは何処!?
そして私は誰っ!?

定番文句をまさか言える日が来るなんて!!
(いやまぁさすがに自我はなくしてないけど)



…だんだんと壊れてきたな…俺…







「あぁもうっ!!誰でもいいから出てこー ドカンッ   ぃ…?」




イラついて手で髪を掻き乱し叫べば、声にかぶさる様に真後ろから爆発音が聞こえた。

いや‥誰もそんなに派手に登場しろとは言ってませんヨ…?






後ろにあった壊れかけの家をさらに壊し、出てきたのは…――――


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