な〜んて簡単に帰らせて貰えないのが世の中だよな…
「うわぁっ?!」
さて教団までひとっ飛びしようかと、白翼を出した瞬間、真横を何かが通りすぎた。
避けていなければ、激突していただろう。
何かはそのまま隣の建物の屋根に激突して止まった。
あぁ〜…俺の予想が間違ってなかったらこれは…――
「あたたたた…危なかったさ…」
瓦礫の山から特徴的なオレンジの髪がひょっこりと飛び出してきた。
やっぱラビだ…!
ラビといいティキといい…今日はいったい何の日なんだ?!
いや、2人とも好きなキャラだったから、会えて嬉しいんだけどさ!
とりあえずラビの所まで飛んでいき、隣に降り立つ。
「えっと〜…大丈夫ですか?」
「!!大丈夫な訳ないっ、しょ…」
無事かどうか聞いてみると、怒鳴られた。
けれど、何故か目が合ったらどんどんとラビの声がしぼんでいく。
えぇっ!?俺そんなすごい眼光してた!?
もしかして子犬の目から成長したのか、俺!!
「天使…」
「は?」
だがラビが呟いたのは全く違うことだった。
すごい神聖なものを見るような目をされる。
「…もしかして打ち所が悪かったんじゃっ!!」
『はぁ…』
(何だよ黒燿。ため息なんかついてたら幸せ逃げるぞ?)
「?」
正気に戻ったラビに何故かしげしげと眺められている。
かなり居心地が悪い。
とりあえず笑っておいた。
バキューーン!
『何愛想ふりまいてんだよ!』
(いや第一印象は大事って言うし?)
そしたらラビから何かを撃ち抜くような音が聞こえた気が…
「もしかしてアンタが世羅?」
「?そうだけど?」
「へぇ〜コムイの言った通…」
また台詞の途中でラビが固まった。
今度はどうしたのだろうと首を傾げる。
「?」
「てことは男!!?」
「…どっからどうみても」
三回目ラビが固まってしまった。
もしかしたらラビは固まるのがマイブームなのかもしれない。
そんなマイブームあるのか、って自分でツッコミ入れたくなった。
(それにしても…最近このネタ多いよな?)
『しょうがないだろ』
(何が)
『・・・』
なんつーか最近俺黒燿にこの馬鹿どうにかなんねぇ?みたいな可哀想な扱い受けてる気がするんですけど
今だに固まっているラビの目の前で手を振る。と、反応があった。
「もしかして俺が男だと何か都合悪いことでもあったりする?」
「…そうだよな‥男でも関係ないか」
「?」
「気にしない気にしない。あっ、オレはラビ、ラビでいいからよろしく〜」
「俺は「世羅っしょ?」…あっうん世羅でいいから。よろしく」
そう言って握手を交わした。
…ラビの方が手がでかかった。
ていうか何で凹んでたのかはわかんないけど、立ち直り早いなぁ〜。
さっきと打って変わってすっごい笑顔じゃん!!
「その羽根、世羅のイノセンス?」
「そうだよ〜」
「イノセンス2つあるってホントなんさ?」
「うん。この黒燿と、この紅燐。2つだよ」
「へ〜」
ラビの言葉に紅燐を取り出して見してあげると、ラビはそれを興味深そうに眺めだした。
やはりブックマンを継ぐぐらいだし気になるのかもしれない。
(ねぇブックマンには黒燿のこと教えてあげる?多分研究されないと思うし)
『好きにしろ』
(じゃあ好きにする〜)
ということで直にブックマンに会って、言う必要があったら言うことにしよう。
「そういえばラビはこんな所で何してんの?」
「コムイに世羅を連れてきてって頼まれたんさ。このまま次の任務だってよ」
「ラビと?」
「そう。オレと世羅とリナリーと後、会ったことねぇモヤシってやつ」
ラビとリナリーとアレンのメンバーと言えば…
もしかして巻き戻りの街…出遅れ決定?
(2006.12.29)
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