紅い銃と黒い蝶    [ 55/159 ]

あ〜ぁ…ファーストキスだった、の…に?





あれ?ファーストだっけ?





・・・




あっ…ファースト……翔に取られたんだった…
……俺ってしょっぱい思い出しかないんじゃ…


まぁ、男だしそんなにこだわりないけどさ、何ていうか今までキスしたことある相手が男だけって何か虚しくない?
虚しいよね?



「お〜い、さすがにこれ以上放置されると困るんだけどなぁ」

『そのまま放置されとけ』

「・・・」

「はいはい、もう何もしないから」

『されてたまるか』


じと目で見つめると、ティキは観念したのか手を上げた。
ていうか黒燿絡みすぎ!




「ほんとに…?」

「ほんとほんと。俺もそこまで無節操じゃないさ」

『嘘つけ嘘を!!』

(黒燿絡みすぎ)

「はぁ…でさっきの質問の答えは?」

「あぁあれね」



また近寄ってきたので今度ちゃんと距離を取った。

口もガードした。のに、





「世羅のこと気に入ったから殺す気はないよ。んじゃ、またね〜」

「っ////」

『やっぱ焼き殺せ〜!!!』



片手をあげて去っていくティキに吠える黒燿。
俺は頬を触る。多分顔が真っ赤だ。



…ほっぺにチューされた…





次からほっぺたもガードしないと…




『世羅大丈夫か?』

「外国人のスキンシップがここまで激しかったなんて…」

『は?』

「驚いたなぁ〜…」

『…筋金入りの天然だな』

「?」



よく言われるのだけれど、何が天然なのかがさっぱりわからない。
そういえば、と紅燐を取り出す。
さっきほっぺに‥された時、ティキが紅燐を触ってたような…

太ももあたりだったから、何かセクハラされた気分になったんだよな。



『無事なのか?』

(壊されてはないみたい)









「あっ…!これ‥」

『一体何のつもりで…』



いちよう発動してみると、なんとグリップ部分に黒い蝶が描かれていた。
多分ティキが仕掛けたのはこれなんだろうが、何のため?
試しに撃ってみたが何にも変わり無かった。



「まぁいっか。俺蝶々好きだし」

『それでいいのかよ…』

「いいのいいの。うんじゃあ、さくっと教団に帰りますか!!」

『はぁ…』









俺は白翼を出し、飛び上がった。
さぁ、お家に帰ろう――


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