「あぁもうマジついてねぇ‥」
今日は厄日だ。絶対そうに違いない。
なぜなら、千年公に呼ばれて行ったらグロいもん見せられるし(甘党のせい)
ロードが千年公に黙って出ていく手伝いはさせられるし(ロードのせい)
それがバレて任務渡されるし(絶対あの傘のせい)
しかも結局はずれだったし(誰のせいだ?もうあの傘のせいでいっか)…
ちなみに今はその任務の帰り。
アクマが大量発生している所の様子を見てこいと、ただそれだけの内容だった。
まぁイノセンスがあったら破壊しねぇといけねぇんだけど、今回ははずれ。
「…はぁ」
ため息をつきけだる気に髪をかきあげると、偶然指が耳に触れた。
おいおいマジ…?
「…ははは…ほんとついてねぇな……厄日決定」
思わず笑ってしまった。
こうも重なるとはねぇ…。
どうやらピアスも失くしてしまったようだ…
「みつかんねぇ…」
ピアスなんて小さいものを見つけるなんて難しいとわかっているのだが…
これも厄日のせいか、失くしたピアスは一番のお気に入りだった。
なのでとりあえず来た道を戻ってみることにしたのだが…
一向に見つからない。
いい加減諦めて新しいの買おっかな〜
なんて考えていたらすぐ近くの東の方の空が光った。
ドォン
「…」
と同時に大きな音がしたので空を見てみたら、20体はいたであろうアクマが一瞬で殺られてしまっていた。
「うっそぉ……」
とりあえずアクマがさっきまでいた所へ向かう。
アクマが破壊されたということは、近くにエクソシストがいるということになる。
ようやく運がまわって来たようだ。
憂さ晴らしに殺ってもいいよな?
今日の俺は黒の俺だからな―
「見っけ♪」
目標の物は至極簡単に見つかってしまった。
ソイツは空を見上げぼうっとしていた。
間抜けすぎる。隙だらけだ。
さっきの技で警戒していたが、その心配は無さそうだ。
というか、本当にコイツなのか?
コイツ細っこくて弱そうだし、体付きから見て多分女だ。
負ける気はしねぇ。
ん?待てよ。
女だったら、いっそのこと一回やっちゃってもいいんじゃない?
そうだよな。好みの顔だったらそれでもいいかも。
最近ちょっとご無沙汰だったしなー。
あ、でも今日、厄日だしやっぱやめておこ。
何か、いいこと無さそうだし、下手に欲出しだら何か悪い事起こりそうだわ。
うん。
さっさと殺っちまおう。
いちよう気配を消して一瞬で背後に回った。
そして後ろから間抜けなエクソシストの左胸の部分に手を突っこむ。
「えっ‥?」
「バイバイ。エクソシスト」
せめてもの情けで、心臓を取り出すだけにしといてやるよ。
何て思いながら心臓を掴み取ろうとした。
・・・
「はぁ?」
思わず間抜けな声が出てしまったが、今はそんなことを気にしている場合ではなく・・・
「心臓が…ねぇ‥?」
そう。取り出すはずの心臓がなかった。
…確かに俺は心臓があるはずの位置に手を差し込んだはずだ。
どういうカラクリかは、分からないが奇襲は失敗した。
あぁ、やっぱ今日は本当に厄日だわ。
一先ず手を抜き構える。
が、
「ええぇぇえぇっ!!!!心臓がないいぃぃぃ?!!!嘘っ!!なんでっ!!どこいった俺の心臓ー!!新手のイジメかっ?!」
ヤバイ…コイツおかしい…
イジメで心臓無くされたらそれはもう犯罪だろ…
というか、死んでるって。
ソイツは俺の存在なんか忘れているのか、慌てふためきながら自分の体を確かめるている。俺はそれを笑いを必至に堪えながら眺める。
そういえばさっき体触ったときに気付いたんだけどコイツ男なんだよな…
え、何で分かったって?
そりゃ、まぁ欲は出さないって言ったけど、ちょっとくらい胸触りたいとか思うじゃん?
そしたら、男の体でビックリ。
それにしても華奢だな〜
これで本当にエクソシストなんて出来んのか?
「すいませんっ!!もう一回確かめてくれませんかっ!!」
やっと俺の存在を思い出したのか、間抜けなエクソシストが振り返っ…――
訂正。どうやら厄日じゃないようだ。
一つ口笛を吹いた。
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