世羅マッチョ化計画?    [ 45/159 ]

ドサ



アレンが曲がり角を曲がった時そんな音がした。
何かが倒れる音。
その音が気になって、夢へと旅立とうとしていた意識が少し浮上した。

同時に、せっかく眠れそうだった所を邪魔された不快感がつのった。


…何の音?
どうしたんだろ?
マテールの話の後何かあったっけ?


夢の世界に旅立とうとしている頭では、すぐに思い出せなかった。
でも思い出せないってことは、多分そんな重大な話じゃないはず。

うん。重要じゃないから、俺は寝ててもいいよね?



「え?リ、リナリー!?どうしたんですか!!」

「も、戻ったかアレン、世羅…?世羅はどうかしたのか!?」

「リーバーさん!?世羅なら眠ってるだけですけど。そのキズ…?何があったんですか」

「に…逃げろ。コムリンが来る…」

「は?」




その言葉と同じくして向こうの方からドドドドドドという音が聞こえ、振動も伝わってきた。


…あぁ。
コムリンの話かぁ。
コムリンとコムイさんが暴走する話だよね。

なんて頭の片隅で思った。

…というか、本当に寝にくいなぁ。
せっかく人が心地良く寝ようとしてるのに、何でこっちに来るかなぁ・・・。

少しイライラしてきた。
それでも俺は寝ようと努力したが、次に壁が壊されるような音がした。
と同時に、水飛沫が全身にかかったのを感じた。
仕方なく閉じていた目を無理矢理開くと、水飛沫どころの話ではなく周りが水浸しだった。



「来たぁ」

「え゙ぇえ゙!?」

「つめたい…」

「な、何アレ?何アレ?!」

「くっそなんて足の速い奴だ…」



何だこのノリ…
新手の戦隊ものなのか?
てか冷たいんだけど。

などと思っていたら、無機質な声が聞こえた。



『発…見!リナリー・リー、アレン・ウォーカー、相模 世羅。エクソシスト三名 発見』

「逃げろアレン!こいつはエクソシストを狙ってる!!」




が、俺を見てコムリンの動きが止まった。
何か悩んでいるようだった。
しばらくコムリンと見つめ合ってみたが、自然と瞼が降りてきたので、素直にそれに従うことにした。


やっぱり眠い…、おやすみ。

今の俺にはコムリンが何をしようと関係ない。
むしろ止まってくれているおかげで、騒音も振動も今はないし、寝るとしたら今しかないだろう。




『相模 世羅…?情報ニ誤リヲ発見 相模 世羅の情報を女に変更。この女も、マッチョに改良手術すべし!』

「え?」



残念ながらさっき旅立ったばかりの夢の世界にいる俺には、そんな話聞こえていなかった。
もし起きていたら、機械が間違えるっておかしいな?とか思いながら否定したのに。





「世羅起きてください!逃げますよっ!」

「んー…」


さっきから幾度も幾度も安眠を妨害されたので、仕方がなしに寝呆けた頭で考えてみた。

コムリン?
コムリン…

……あぁ、リナリーマッチョ化計画?

とりあえず俺は、地面に足をつけてアレンの背中から降りた。
リナリーが危ないというのはなんとなく覚えていたからだ。
今の俺は1割の意識と9割の無意識(本能)で動いている。




「世羅大丈夫ですか?」

「だいじょぶ…あれん、りにゃりーを‥」



無意識に白翼が出る。
ふらふら歩くよりふらふら飛んだ方が、まだましだと思ったからだと思う。
リーバーさんが何か言ってる気がするけど、煩くて何も聞こえなかった。

あー眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い。
何でこのタイミングで来るかなぁ・・・。
俺が寝ている時にでも、暴れててくれたらまだ無視出来たのに。
早くお布団に入りたい。
そしてぐっすり眠りたい。


そんな間にもコムリンが手足(?)を使って、教団破壊しながら追いかけてきていた。




『手術ダーー!!』



「うわわわっ、追ってくる!追ってくる!!リーバーさん!ワケがわかりません!!」

「ウム。あれはだな!コムイ室長が造った万能ロボ“コムリン”つって…見ての通り暴走してる!」

「何で!?」

「あれはほんの30分前―――」




俺は皆の前を飛んでいるかたちなので、後ろから声が聞こえる。
まぁ聞こえるといっても耳から入って耳から抜けているようなものだけど。
ただ、



「コーヒー…」


コーヒーは飲みたくなった。


少し奧へ進んだ所で止まり、休憩する。
コムリンはまだ来てないようだ。
俺はもう本当に無理なので白翼をしまい、リーバーさんの隣に降り立った。

無理。限界。眠い。死ぬ。



「……というワケだ。悪いなこんな理由で」

((アホくさ……っ!!))



アレンとトマさんの心の声が聞こえた気がした。


うん。それは原作読んだ時、俺も思ってた。


*prev / next#

目次へ
しおりを挟む



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -