帰還    [ 44/159 ]

「だいぶ遅くなっちゃいましたね〜」

「この嵐で汽車が遅れましたから…」





やっと教団についた。

今は真夜中…
正直言ってかなり眠い。
基本的に夜更かしに慣れていないし。
それに、初任務で色々あったことも原因かもしれないけど、黒燿を使いすぎたせいもあるかもしれない。

本当に眠い。

もうだいぶ治っている傷も、湿度が高いせいか、疼いていて痛いような痒いような感じがする。
不快指数が上がった。


微睡みながらふらふらと歩いていると、誰かが支えてくれた。
いい所に支えがあるなぁと、支えてくれた相手に体を預ける。
これでようやく眠れる。




「世羅…もう少しですから頑張ってくださいよ!…まぁかわいらしいですけど」

「ん……」



どうやら支えてくれたのはアレンらしい。
眠すぎて働かない頭でそれだけは理解した。
アレンが何か言ってくれている気がしたので、とりあえず返事だけはしておいた。
とりあえず今は寝たい。
そのまま目を閉じる。
アレンには後でお礼言っとこ。




「あははは、もう真夜中だなあ‥回収したイノセンスはどうしたらいいのかな」

「科学班の方なら誰か起きてらっしゃると思いますよ」

「じゃあ行ってみます。あぁっ!世羅、寝ないでくださいよ!!」

「む〜…」




支えられたままの状態で眠っていたら揺すぶられた。
正直言って、俺は寝起きが悪い。
そんなぐらいじゃ起きれない。
唸りながら寝続けていたら微妙な浮遊感があったので、おんぶされたのが朧げながらわかった。
これは寝てていいってことだよね。
落ちないようにアレンの首に腕を回す。あったかい。
人の温もりを感じて、更に意識が下へ下へと落ちていくのが分かった。

今ならいい感じで眠りにつけそう。




「はぁ。心臓に悪いなぁ…。にしても軽すぎ…」

「う〜…」

「いっそのこと、このまま持って帰っちゃっても気付かれないよね。」

「ウォ、ウォーカー殿…」

「いやだなぁ、ほんとに持って帰るわけないじゃないですか〜。………チッ」





会話はもう聞こえなかったけど、何となくアレンから不穏な気配を感じた。

気のせい・・・だよね?


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