光が納まったようなので、目を開けた。
強烈な光を見たせいか、なかなかはっきり見えなかった。ようやく目が元に戻ってくると、驚愕の表情を浮かべたヘブラスカが見えた。
「…まさか‥一人に…二つも適合するなんて…!」
へ?
そういえば、とさっきから違和感を感じる自分の手に目をやる。
手には真っ黒な小型の銃が一丁、握られていた。ご丁寧に腰にホルスターもついてる。
「ええぇぇっ!!」
これイノセンスっ?!
っていうか加工してないのに銃の形って…っ?!
「…こんなことが……とりあえず寄生型の方のイノセンスとのシンクロ率は94%だ…そのイノセンスとのも調べたい…」
こんな状況でも取り乱していないヘブラスカを尊敬していいですか。
「あっ、はい、どうぞ」
とりあえず銃を持ったままじっとしてみる。
また我慢しなきゃいけないのか…
「67…70…78%!……どうやらそれとは‥78%のようだ‥」
告げられたのはシンクロ率なのだが…さっぱりだ。
確かアレンは83%だったよな?んで、俺は94%と78%か…
「えっと…それって高い方?」
「…両方とも平均よりは高い……94%など今まで‥なかった」
黒燿すっげぇ〜!!
黒燿と気が合うってことかな?っていうか黒燿、全然喋らなくなったけど、大丈夫なのか…?
「ありがとヘブラスカ」
そっと下に降ろしてもらったら、アレンが駆け寄ってきた。
「相模世羅…お前のイノセンス達は黒と白が入り交じる世界を見守る導となるであろう『時空の訪問者』そして『母なる救済者』…私にはそう感じられた…それが私の能力…」
ヘブラスカの声が降ってきた。
『時空の訪問者』…か。さっすが!当たってるね!!
いやでももう一個はどうよ…『破壊者』の俺が『救済者』?しかも母なるって……
「すごいじゃないか相模くん!イノセンスが二つも適合するなんて!いったいどうなってるんだい?」
「さぁ?さっぱりデス」
そんな会話をコムイさんとしていると、アレンが質問をしてきた。
「イノセンスって、一体なんの事なんですか?」
そっか、アレンはまだイノセンスのこと知らなかったんだった。
ここ、説明長かったよな?漫画で読んだから内容覚えてるしな〜。よしっ、考え事でもして時間つぶそっと。
改めて新しいイノセンスを観察する。全長20pほどの銃の形をしている。
今は真っ黒だが発動すれば真っ紅になるらしい。使い方はイノセンスが教えてくれた。
昔から知っていたみたいに頭に入っていた。
それにしても、イノセンスが2つ…何でだろ?
『俺がいるからじゃねぇか?』
久しぶりに聞こえた声。
(黒燿!!今まで何してたんだよ!!)
『寝てた』
(寝てたって…はぁ…でどういうこと?)
ちなみに口に出さなくても頭の中で会話は出来るらしい。
『部屋に帰ったらもっと詳しく説明するが、簡単に言うと、俺は俺の適合者、んでお前はその銃の適合者ってわけ』
(どこが簡単なんだよ…)
『だから後で説明するっつーの』
(わかったわかった。要するに、それまで待っとけっていう話だな?)
『そーゆーこと。ほら話終わったぞ』
「―――…以上で長い説明はおわり♪一緒に世界の為にがんばりましょう。一銭にもなんないけどね」
黒燿に言われた通りちょうど説明が終った所だった。
最後のおちゃらけたような台詞を聞いていると、アレンんと目があった。
笑って頷くと、アレンも頷き返してくれた。
「「…はい!」」
「ようこそ。黒の教団へ!」
コムイさんと握手をした。
「現在、エクソシストはキミ達の入団で20人となった」
それからヘブラスカの話になった。どうでもいいけど、この世界って変わった人多いよな〜
ヘブラスカとか門番とか伯爵とかとか。
「アレン、世羅…お前達に神の加護があらんことを…」
ヘブラスカの声で現実に戻される。やっぱりヘブラスカは怖いんじゃなくて、綺麗で優しい。
「ありがとう。ヘブラスカ」
新たにイノセンスも増えたし、いっちょ頑張りますか!
イノセンスを怪我しない程度に…
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