寄生型の恐怖    [ 26/159 ]

歩くたびに突き刺さる視線が痛い…。





「新入りか…」
  「なんだ子供じゃねェか」
「うわっあの子かわいい…」
    「ほんとだ!」
「老人かと思ったら…なんだあの髪」
  「呪われてるらしいぞ」
「女の方、新入りなのに団服着てるぞ」
   「あれ神田のらしいぞ」
  「うっそぉ」
「大丈夫かよあんなガキで…」




「まあイノセンスに年齢は関係ないからな」






何かぼそぼそと囁いている声が聞こえる。それを聞いて、そういえば、とアレンがこっちを向いた。



「どうしたの?」

「世羅。そのコートどうしたんですか?」

「あぁこれ?アクマに襲われた時に着ていた服がぼろぼろになっちゃってさ、ユウが貸してくれたんだ。たぶん見苦しかったんだと思う」



そう言いながらコートを捲って、破れたズボンを見した。

と同じくらいに、近くですごい音がして、警備員さん(?)みたいな人が鼻血を出していた。

え、大丈夫なの、あの人!?
でも、周りの人も気にしてないし…

ピーナッツの食べ過ぎ…?




「はっははやくコートを降ろしてくださいっ!!」

アレンもユウ同様、視線を逸らしていた。
やっぱ見苦しいのかと、コートを捲っていた手を放す。
リナリーはさっきから笑顔で俺たちのやり取りを眺めていた。


「見苦しいものをお見せしマシタ。ごめんな?アレン、リナリー」

「全然見苦しくなかったわよね?アレンくん」

「あっはい。違う意味で色々と苦しいですけど…

「?そう?ならよかった」


アレンが何か呟いた気がしたが、聞き取れなかった。
リナリーはくすくす笑いながらそんな俺達を見ていた。


「ほら早く行きましょ?」


また教団案内に戻った。








いろいろと案内してもらって、やっとコムイさんがいる所についた。



「はいどーもぉ。科学班室長のコムイ・リーです!歓迎するよ。アレンくん、世羅くん。いやーさっきは大変だったね〜」


(((((誰のせいだ…)))))



爽やかに挨拶するコムイさんにつっこむ皆の心の声が聞こえた。
そうやっている間に手術室みたいな部屋についた。


できれば、アレンの治療シーンみたくないなぁ…と心なしか手術台から距離を置いてみたり。



「じゃ腕診せてくれるかな」

「え?」

「さっき神田くんに襲われた時、武器を損傷したでしょ。我慢しなくていいよ」


素直に手を見せるアレン。
あぁこの後に悲劇が待ってるなんて知らずに…
コムイさんはアレンの手をじっくり診る。


「神経が侵されてるね、やっぱり。リナリー麻酔もってきて。発動できる?」

「あ、はい」


またまた素直に発動するアレン。頑張れアレン…。

コムイさんはアレンが発動すると、小さく感嘆をもらして、嬉しそうに言った。


「キミは寄生型だね!」

「寄生…型?」

「うん。人体を武器化する適合者のこと。数ある対アクマ武器の中で最も珍しい型だよ。そうだっ!世羅くんは何型だい?」

「ユウによると寄生型らしいですよ〜……ってケガはしてませんからね!」


寄生型と答えたとき、コムイさんの目が輝いた気がするので釘をさしておいた。
怪我してないと言うと残念そうだった。



「…それはすごいね。久々の入団者が二人とも寄生型なんて!!寄生型の適合者は肉体が武器と同調してる分、その影響を受けやすいんだよね」


そう言ってコムイさんが出してきたのは、治療という言葉とかけ離れた、重装備だった。

とうとう登場してしまったっ!!




「その装備はなんですか?」

「ん?修理。ちょっとショッキングだからトラウマになりたくなかったら見ないほうがいいよ」

「待っ待って…」


アレンの顔から血の気がひいていった。



「Go♪」

「ギャーーー!!!!!!!」

「・・・」



俺は目を背けて、耳を塞いだ。







「俺、絶対ケガしたくない…」








アレンの悲鳴をBGMに俺はそう誓った…――


*prev / next#

目次へ
しおりを挟む



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -