「どうなってるんだ…?」
厳しい崖を登りきり、やっと教団に辿り着いたと思ったら、アクマに間違われるし、それに…――
「一匹で来るとはいー度胸じゃねぇか…」
「ちょっ、ちょっと待って!!何か誤解されて…」
いきなり現れた長髪の人にいきなり斬り掛かられるし…
どーなってるんですかっ、師匠!!!上半身包帯だけってある意味変質者ですよっ!?
そう思いながらも、とりあえず長髪の人の攻撃を対アクマ武器で防ぐ。
「なっ…痛っ?」
驚いた。痛みを感じ、長髪の人の攻撃を受けた左腕を見てみると、一線の亀裂が走っていた。
対アクマ武器に傷が!!
アクマの砲弾でもビクともしないのにたった一撃で…!?
もしかしたら相手もエクソシストなのかもしれない。
それなら、戦うのはおかしい。
「……お前…その腕はなんだ?」
とりあえず、まずはこの人の誤解をとかないとっ!!
誤解が解けますようにと願いながら、言葉を紡ぐ。
「対アクマ武器ですよ。僕はエクソシストです」
やったー!!長髪の人の動きが止まったー!!
が、喜んだのも束の間、門番がいらないことを言いだした。
―…何、人の邪魔してくれてちゃってるんですかね?門番ごときが…
元はと言えば、テメェのせいじゃないですか。
おかげで長髪の人の殺気が増した。
「ふん…まあいい。中身を見ればわかることだ」
「人の話はちゃんと聞けよ。このパッツンが…。違うって言ってんだろ」―まったく、思わず黒くなっちゃったじゃないですか。
長髪の人は僕の呟きが聞こえたのか、青筋をたてながら刀をなぞりだした。
刀はなぞった所から変化していく。
刀型の対アクマ武器!!
やっぱり対アクマ武器だったんだ!!
エクソシスト相手にどう闘っていいかわからない。
いっそのこと、気絶させてしまおうか、と思った瞬間…――
「ストォォォォオオップッッッ!!」また上から誰か降ってきた。
すごく中性的な綺麗な声をしている人だ。
その人は軽やかに降り立つ(小さく「10点満点」と呟いたのが僕には聞こえた)と、
「ストォォップ!!ユウ、刀おろしなよ!!」
…長髪の人を怒りだした。
長髪の人は当然反発する。
「どけっ!!お前アクマを庇うのか?!」
「何アクマって決め付けてんのさ!!どう見たって、エクソシストだろ?!」
僕はその言葉にうんうんと頷いた。話を聞かないパッツンと違い、いい人だ。
「さっき言ってたよね?紹介されてるんでしょ?」
そう言ってその人は僕の方を振り返った。
やっと顔が見えたその人は小首を傾げながら聞いてきた。が、僕はあまりの美しさに見惚れてしまって言葉が出なかった。
人形のように整った小さい顔、透き通るような声、さらさらの黒い髪、髪と同色の吸い込まれるような瞳、それを縁取る長い睫毛、ふっくらとした可愛らしい唇
……って何を考えているんですか僕はっ!!
恥ずかしさに顔が熱くなる。
頭を振って思考を散らそうとしたが、無理だった。
思考はとめどなく溢れてくる。
こういうのを美少女って言うんでしょうね。この子もエクソシストなのかな?
あ〜あ、そうだったらいいな〜
…っていうかそのコート違う人のなのかな?
なんて言うか、だぼだぼ具合が…
「お〜い。帰ってこ〜い」
目の前で手を振られたので、意識を頑張って戻した。
えっと…何の話してたっけ?
あぁ、紹介状か。
…紹介状?
「そうですっ!!クロス師匠から紹介状が送られてるはずです!!」
「元帥から…?紹介状…?」
あっ長髪の人の殺気が少し弱まった!!よしっ、後一押し!!
「そう紹介状。コムイって人宛てに」
「・・・」
何故だか通信の向こうの空気が冷たくなった気がした…――
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