初めての戦闘    [ 14/159 ]

アクマの銃撃が一区切りついた所で、翼をしまいジャンプする。
さっき遊んでいたおかげで、難なく翼を動かせた。

入れられた情報からすると、俺の身体能力とかは上がっているらしい。
軽々とアクマの頭上を飛び越え、背後をとることに成功した。
心臓はバクバクしっぱなしだけれど。



えっと、何使おう…?


俺の対アクマ武器には色んな形状があるらしく、何を使おうか迷う。
…いやいや迷ってる暇なんてないじゃん俺!
えっと、えっと、ととととりあえずひとつずつ!!



「閃刃発動!!!」



そう唱えると巨大な爪のようなものが手を覆った。



「マジで俺…適合者だったんだ…すっげぇ…」

『いいからさっさと殺れ』



自分の手を見てしみじみと感動していたら、一喝されてしまった。
目の前のアクマは俺に銃を向けていた。

うぎゃー!!怖い!!怖いって!!!




「お、おりゃぁぁああ!!」


相変わらずバクバクしっぱなしの心臓を抱えながらも、手を動かした。
爪でそのアクマを貫き、抜くと同時に横に薙ぎ切り裂いた。
が、




「ガガッ…エッエクソシスト‥ころス…」


アクマは爆発することなく、まだふらふらと動いていた。
致命傷にはいたらなかったようだ。

だから怖い!!怖いって!!

とどめの一撃をと思い、手をあげると背後から銃撃を受けた。


「っ!?」


白い翼を出してそれを防ぎ、そのまま上空へ飛ぶ。
反応が遅れたせいで2・3発かすったが、後は防げた。
先程自分がいた所を見ると、もう1体アクマがいた。



「やっぱ他にもいたんだ…」



上からだとよくわかる。
自分がいる所へとわらわらとアクマが集まってきている。
ざっと14・5体はいるだろう。

1体でもいっぱいいっぱいだってのに、多すぎだっつーの!!
2体いるかもって焦ってたあの頃を返せっ!!

どうしろっていうんだよ!


パニックに陥りそうになった俺を救ったのはイノセンスだった。



『ぎゃーぎゃー騒ぐな。お前には俺がいるんだ。殺られるわけがないだろ』

「でも…」

『相手はたかがLv.1だ。何も恐れることはない。ほら、俺がお前に渡したデータをちゃんと自分のものにしろ』

「データ…」


目を閉じて、記憶という形で植え込まれているデータを思い起こす。

どうやって使うのか。
何が出来るのか。
何をしたらいいのか。

その全てがあった。






『さあ、よく考えろ。俺は弱いか?』




声が聞こえる。
自信に満ち溢れた声が。


弱い?
こんな声の持ち主が?






そんなこと、









「――有り得ない!」

『よしっ。お前の目の前にいるのは倒すべきものだ。それ以上の何物でもない』

「了解!」



強張っていた顔から力が抜けて笑顔に変わる。
不敵な笑顔に。
まだ心臓はバクバクいってる。

だけど、






俺はエクソシストなんだ。







すーっと右手を上に掲げる。

時間がかかればかかるほど俺には不利になる。
なら、一撃必殺!!





「黒炎発動!!

対象物を焼き尽くせ、灼火焔黒!!」



左手を右手に添えてアクマに向け、叫んだ。

すると、真黒の炎の渦が右手から出現してアクマを包み込んだ。
14・5体はいたであろうアクマは全て炎に包まれ、焼け落ち、跡形もなく燃え尽きてしまった。

念のため辺りを確認するがもうこの近辺にアクマはいないようだ。







「っっっよしゃああっ!!」


空中で一回転しガッツポーズする。


やったよ俺!勝ったんだ!
何より嬉しいのは、イノセンスを怪我させなかったことだよ〜!!


俺は喜びを噛み締めつつ、下に降り立ち翼をしまった。
翼はあれだけの弾丸を受けながら、微塵も汚れた形跡はなかった。


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