新Dust | ナノ












 
もうずっときみに恋してる

俺は人間を愛してる
ずっと前から変わらない

人間が魅せる感情に堕ちていく感覚がたまらなく愉しい
どんな感情で舞台を彩るのか、考えるだけじゃ物足りない

だから色々な場所で火種を撒く

ただ一つの例外がある
それが化け物の彼だ

いつもの喧嘩にしたって、普段は間接的にしか関わらない俺が直接相対しているのだから笑える

『いーざーやー!!』
『なーに?』

小物が束になって襲っても決着は目に見えているのもある

『池袋に来るなっつっただろ!』
『なに言ってるのかな?』

それだけでないのも分かってる

『てめえが来るといらつくから帰れ』
『シズちゃんが嫌がるなら帰らないよ』

高校時代からの関係に思い知らされるしかない

どの喧嘩にしたって、全て仕掛けているのは俺自身
もともとは落ち着いてる彼を陥れては関わらせている

『臨也は新宿で動けばいいだろうが!』
『だって池袋のが面白いんだもん』

君が此処にいるから

殺し合いをしてる時が一番最高

その瞬間はあの瞳に俺だけを映している

幾度も追いかけられては逃げる背中に鋭い殺意を感じながら微笑んでしまう

『…何を笑ってやがる』

それを見て怪訝そうにこちらを見ている

『どうして俺を追いかけるのかなって』
『あ?いまさらじゃねえか』

いまさら止める気はないって事はシズちゃんから探してるって事になっちゃうんだよ?

会いたくないけれど探す事は止めない、それが矛盾してると思わないのかな

『無視すれば問題ないじゃない』
『てめえが来るとロクな事がねえからだろ』

勘だけは鋭いのだから俺が近づく前に避ければいいのにさ

『シズちゃんを追いかけるのって愉しいんだよね』
『うぜえ』

眉間に皺を寄せて睨んでるけど意味ないんだよ

刻々と針は進んでいく時、俺だけに意識が向いているのだから愉しくて嬉しい

『君は人間じゃないけど、一番人間らしいと俺は思うよ』
『…だから、なんだって言うんだ』
『なんて言うのかな』

周りから見れば、ずいぶん遠回しな愛し方だと感じるだろう

俺自身も考え方が歪んでいると実感しているから、仕方ないと言えば仕方ないこと

愛を語るには恋を知るべきだと言われた事もある

その時点で既に恋をしていたのも知らないで

『人間じゃないけど、シズちゃんの事は愛してるよ』

固まったまま動かなくなったかと思えば、彼は真っ赤になって俯いた

『………帰る』
『残念だけど返事はまだもらえないみたいだね』
『…………知るか』

即答されないところを考えれば可能性はあるみたい
まぁ、色恋沙汰に鈍いシズちゃんだし思考が追いついていないのかも

ふらつきながら歩いてく背中を最後まで見届ければ、さらに表情を綻ばせた

クスクスッ

『気づいたかな』

俺は、もうずっときみに恋してる


title by 確かに恋だった






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