新スタスカ | ナノ












 
油断大敵《天秤座

好きなんだから多少の諦めも必要
それは確かに一理あると思う

『星月先生…』

けれど、だからって…
恋人と二人きりなれる数少ない時間に眠ってるのは寂しいと感じて当然だと思うの

彼の性格というか、少し時間があればすぐ眠ってしまうくらいに眠る事が好きな人だから…この際、仕方ないと言えれば楽だったのかもしれない
生憎、私は側に居るのに我慢できる性格じゃない

『いつまで寝てるんですか!』
『さっきから起きてるぞ』
『……まさか、とは思いますけど』

いまだに眠そうな彼は欠伸をしているが、うすく涙ぐんだ瞳は明らかに目覚めている

『ん?』
『ずっと眠ってなかった、とか?』
『まぁ、そうなるな』
『なっなんで起きてくれなかったんですか!』

自分の表情が変わっていくのを見られていないと信じるしかない
見られていたらと思うと、顔が熱くなってきた。結局、私が我慢できなかっただけなんだから恥ずかしくて仕方ない

『夜久が可愛かったから、つい』
『つい、って子供じゃあるまいし…というか見てたんですか?!』

なんでいつも眠ってるのに、タイミング良く起きてるのー!
というか、いつから見てたのよ…最初から?それとも途中?
どっちにしたって私が恥ずかしいだけじゃない…

『さっきのは忘れてください』

胸の内では叫び足りないくらい不満のような、他から見れば贅沢な悩みだろう声がぐるぐると渦巻いてるのに彼は気づいてない

『なんでだ?別に覚えていていいだろう』

…とは思いたいけれど面白がっている表情から考えて気づいてないはずがない。あからさまに彼は笑みを浮かべて、楽しそうに次の反応を待ち構えて見えるもの

『星月先生のいじわる……』

余裕たっぷりの恋人に悔しい私は何か仕返しが出来ないか必死で考える。考えると言っても、今できる事なんて限りがあるのは分かってる

クスクスッ

口元を緩ませている彼は次にどんな反応をするのだろう
ちゃんと驚いてくれるのかな…それとも、平然と状況を受け入れてしまう?

きっと今は彼も気づいていない。だからこそ仕返しになる

『怒るなよ、夜久』
『………』
『俺が悪かったよ、だから拗ねないでくれ』

覗き込む形になった先生へ私は勢いよく顔を近づけて

チュッ
愛しい恋人へ不意打ちのキス

『…今のはずるくないか、夜久』
『さっきの仕返しです、なんて』
『それはまた可愛い仕返しな事で』
『でも、星月先生には効き目抜群でしょう』

いつも大人だからって余裕の表情を浮かべる彼も少しは驚いてくれた…はず!

『まぁまぁじゃないか?』
『む〜っ』

クスクスッ

『ぶすくれるな、少しは【効き目】があったんだからな』
『それだけじゃ足りません!』
『…だろうな』

チュッ

『えっ』
『油断するなら、まだまだだぞ?』
『な、先生だからです!次は油断しませんから!』

悪戯っ子のような顔で首を傾げる恋人はまた一歩、先を越して掌をこちらに伸ばしてる

クスッ

『そうか…じゃあ楽しみにしてるからな夜久』

愛しそうに見つめる彼は、頬に触れて感触を楽しんでいるみたい

まだしばらく私には勝てそうにない







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