はじめての温度《蠍座
今までは恋愛というものに縁がなかった。
ただ興味が湧かなかっただけ。それは星座の勉強や弓道の方が大切だと思っていたから
「宮地くん、なにかあったの?」
「いや、なんでもない」
以前と少し変わったこと。前に比べて自分の時間が…夜久と一緒に居る時間が増えたこと
今になって初めてづくし。一緒に帰ったり、デートをしたり…恋人繋ぎをした時もある
たくさんの幸せを感じていたからこそ、正直とてつもなく恥ずかしい。
周りがどうかは知らないが自分は未経験なことだから彼女と一緒に顔を真っ赤にする
恋人として夜久と触れ合うことが出来るのだから、俺にしか見れない表情もある
「大丈夫ならいいけど…」
唇を尖らせて頬を膨らませている夜久がとても愛しく感じるようになってる
我ながら、今まで恋愛感情が芽生えなかったのが不思議なくらいだ
「そんな表情をしなくていいだろう」
「じゃあ、なんで嬉しそうに笑ってるのか教えて!」
夜久に分かるほど、顔に出ていたのか…なんとなく触ってみた頬は熱い
「楽しいことでもあった?」
「恋人になってからの事を思い出していた」
……………………
なにか言われるかと思っていたが、隣で夜久は無言のままさらに赤くなっている
「宮地くんって、恥ずかしがり屋だけど…自分に正直だよね」
少し間を置いたかと思えば、そんな事を言う
「変な意味じゃないからね」
「そうなのか……?」
いまだ顔を隣で赤くしている夜久と手を繋ぎ、また嬉しさが募らせる
「俺は夜久が初めての彼女で幸せだな、と思っていただけだから」
重ねた掌を伝って、愛しい彼女の温かみを感じながら笑みを零す
title by 確かに恋だった