新スタスカ | ナノ












 
赤いリボン《蠍座

結ばれたのは赤いリボン
私の小指と彼の小指を繋いでいる

もともとは大の甘党な彼と二人で食べようと思って買ってきた洋菓子たち

日常的に見ることが増えたそれの包装に使われている飾り紐

肝心なケーキたちを食べた後、それを指に絡めて遊んでいた

なんとなく悪戦苦闘しながらもリボンの端を自分の指に結んだのがきっかけ。自然と余ったもう片方の端を彼の指にも結んでみる

「今度は上手く出来ますように」

「…夜久……なんで俺もなんだ」

「だって、せっかく恋人同士なんだもん!お揃いにしたいの」

「そう、いうものなのか?」

「うん!少なくとも私はそう思ってるから」

頭の周りに小さな疑問符がたくさんあるように見えそうな表情

確かに学校には女の子がいないのだから仕方ないと言えば、仕方ない事だけど。本気で聞いてくるところが彼らしい

「宮地くん、真っ赤になってる」

「っ…これは夜久のせいなんだ!」

クスクスッ

恥ずかしがる彼を見つめながら、私は笑顔で蝶々結びを作っていた

「これで一緒だね」

二人の指にお揃いの小さな蝶々

「なんだか運命の赤い糸みたい」

「ん?あれは迷信じゃないのか?」

「私は信じてるからいいの!」

「相変わらず可愛らしいものが好きなんだな」

よく雑誌などで使われる《運命の赤い糸》という言葉

女の子なら誰でも、一度は信じてみたい幸せなもの

「まぁ…夜久が信じてるなら、俺はそれで構わないが」

いつも人一倍恥ずかしがるのに、たまにさらりと言う言葉は鼓動を煩くする。そこは私も負けてられないところ

「きっと私の赤い糸は宮地くんに繋がってるんだね」

「そこは【きっと】じゃなくて【絶対】だろ、夜久」

目を逸らしながら、けれど言葉を強調するように。繋いだ手を強く握る彼は耳まで赤くなってる

どちらかと言えば慣れないからこそあまり彼は積極的じゃない

今みたいに言葉で言うことも少なくて…だから、すごく今は幸せな気分になった

「そうだよね!絶対!」

「あぁ」

「大好きだよ、宮地くん!」

嬉しそうに笑顔を浮かべる彼を独り占めできるなんて私は幸せ者

「ねえ、今度はお揃いのピンキーにしようよ」

「俺も夜久も普段は付けられないぞ
「普段はチェーンに通して、ネックレスにするの!宮地くんはそういうの持ってる?」

「それなら…たぶん家にあるから大丈夫だ」

「じゃあ、ピンキーで決まりね!どんなのがいい?」

「シンプルなものが好きだが、夜久の好みでいいからな」

「宮地くんは遠慮しすぎ!でも、早くお店に行きたいなぁ」

結局は私も部活の時は付けられないから同じ。ただ、何もない時くらいはお揃いにしたいと思ってしまう

「次の休日にでも見に行くか」

「行く!!」

《少しでも思い出を共有できたら》

…なんて願って、見える証を求めてしまうのは欲張りだと分かってる

それでも私は彼と恋愛初心者同士、
精一杯の恋をしたいと思うの







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