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約束、しませんか?《乙女座

注意*この小説は×月子固定です。

パラパラと資料をめくる音がする
サラサラと文字を綴る音が響く

僕が資料を探して、夜久さんが必要な部分をまとめていく作業

会長や翼くんは、それぞれ異なる理由で席を外していた
今、僕は彼女と二人きりで黙々と手を動かしている

『これもお願いします』
『うん、今のところを仕上げてからとりかかるね。』

いつもは賑やかな生徒会室が、今は二人の会話だけが響いている

『ありがとうございます。夜久さん』
『青空くんが資料を絞ってくれたからまとめやすいんだよ』

テキパキと手を動かしながら、少し苦笑している彼女

『そんなに謙遜しなくてもいいですよ。事実なんですから』

実際に仕事はいつもより、だいぶ早く仕上がりつつある

トントンッ

『ある程度仕事も片付きましたし、一旦休憩しましょう』

資料を整え、言葉を紡いだ
不思議そうに手を止めて、こちらを見つめている

『休憩が必要なほど、私は仕事をしてないよ?』

申し訳なさそうに貴女は言う

『夜久さんは、仕事を十分してくれたじゃありませんか』
『そうかなぁ…』

真面目な性格な貴女だから仕方ないと言えばそうなんでしょうけど

『それに、せっかく夜久さんと僕だけで二人きりなんですから…
一緒にお茶でも飲みましょう。ね?』

夕陽が差し込む中で、デートに誘っている気分になっている

僕の我が儘だけれど【休憩】を言い訳にして和みたくなってしまった

『青空くんがいいなら、お言葉に甘えて一緒にお茶したいなぁ』

そう言いながら、暖かい笑みを浮かべてこちらを見ている

『それは良かったです。』

茶葉とティーカップを選びながら、つい苦笑いを浮かべてしまう

『内心は、断られたらどうしようかと思っていました』

クスクスッ

『せっかく、青空くんが誘ってくれたんだもん。断らないよ!』
『ありがとうございます、貴女は優しい人ですね。』

トラブルが日常茶飯事な生徒会室で、こんなにも落ち着くなんて久々…むしろ初めてのように感じる

『どうぞ』

流れ作業で紅茶を注ぎ、少しのお茶菓子も準備していく
注いだばかりの紅茶から仄かに薫る甘い香り

『ありがとう。
…すごく美味しい!!』
『喜んで頂けて嬉しいです』

貴女に喜んでもらえて、とても幸せですよ

そんなことを考えながら、微笑みかけると…

紅茶が熱いのか、別に理由があるのか
夜久さんの顔がやけに赤くなっている気がする

『あの、どうかしましたか?』
『えっ、な、なんでもないよ』
『でも、顔が真っ赤にですよ?』…………

『気にしないで大丈夫だよ』

表情を掌で隠しながら、夜久さんはこちらを見ては背けての繰り返し
どうやら何かを思って、それが恥ずかしいみたいですね

『紅茶が冷めてしまいますよ』
『あ、そうだね』

飲食をするので、隠すことは諦めたらしい
今だにうっすらと赤く頬を染まっている

『急にどうかしましたか?』
『えっと…』

何をそんなに恥ずかしがっているのでしょう
言いだしづらいことを思ってしまったという訳でしょうか

『えっと、ね…普段は他の皆がいるからけど今日は二人きりで…

なんだかデートしているみたいだなぁって思って…そう思ったら、恥ずかしくなっちゃって…』
『そんなことだったんですね。それなら僕も同じでしたよ』

本人に言うという行為が恥ずかしかったようですね
理由がとても可愛らしい

『嫌じゃない?』
『嫌なんて思いません。むしろ嬉しいくらいです』

だって、そうでしょう?
それは僕を少なからず、意識しているということ

『そうなの?』

…あんなに恥ずかしがるなんてすごく愛らしい
です

周りは皆が好感を持って貴女に接している

けれど、本人は気づいていない

それなのに僕だけ意識してるなんてとても嬉しいです

『ええ。誘った時に僕もデートみたいだなぁと思いましたから』
『そっか…私と青空くん、同じことを思ってたんだね』

クスクスッ

『確かにそうなります。もう恥ずかしくはありませんよね?』

そう聞いてみると、安心したかのように、表情が和らいでいく

『うん!』

約束、しませんか?

二人で交わした約束
それはお茶会への招待状


企画提出文





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