あなたを信じることは、
偽りと真実に気づいていなかったのは疑いもしなかったから。
信じられるなんて確証は何処にもないのに、笑顔で紡がれる甘さに溺れていたなんて思いたくなかった
「これからよろしくね、ルルちゃん」
「こちらこそ!仲良くしましょうね!」
出会った頃の印象は明るくて、とにかく面白さを求めてる人
きっと私は惹かれていた
「もっと刺激的なものが見たいな」
普通じゃない事が大好きな彼に小さな想いを育んでいたのに
真実はそんなモノじゃなかった
「どうして…?」
「今のままは退屈だったからさ」
「退屈だからって、そんなっ」
「なんでも素直に信じるルルちゃんが悪いんだよ?」
悪びれもしない彼に増えていく喪失感。信頼は自信に繋がるけれど、裏切りはなにもかもを失うように傷をつける
不思議と他人事のように思ってしまう。彼なら有り得ると納得する私がいる
「アルバロは何がしたいの?」
「俺は期待してるんだよ、ルル」
「…貴方には負けないわ」
クスクスッ
「それは約束の夜が楽しみだ」
嘲笑うように細められた瞳をこちらに向けて、零れる言の葉
「ルルが何を望んで、何を俺に求めるのか」
最初からあまりなかった距離をゆっくりと縮められる
「それ以上、近づかないで!」
「煩い」
微笑んでいるのに、その瞳だけは怖いくらいだ
そっと頬に触れたかと思えば、囁かれたのは冷たい声
「結果が俺の望むモノであれば、その時は何でも叶えてあげるよ」
「意味が…」
静かに離れて、口を開けば先ほどとは真逆の口調
「君が望むなら甘い夢でもいい」
踵を返す彼に思考が追いつかずただ見送るだけ
「だから頑張ってね、ルルちゃん」
手を振りながら立ち去る姿は、まるで恋人を錯覚させる
あなたを信じることは、あなたに騙されることだった。
title by 確かに恋だった