『久し振りだな、ペンギン』
「キラー、か。急に連絡してくるから驚いた」
『元気にしていたか?』
「ん、ああ、おれは元気だよ」
『そうか、なら良かった』
「お前は?」
『ああ、こちらは変わりない。ピンピンしてるさ』
「…だろうな。いや、別に心配していた訳じゃない。勘違いするなよ」
『なんだ、心配してくれてるのかと思ったよ。残念だ』
「…うるさい黙れ。さっさと用件を言え馬鹿」
『ん?ああ、いや、特に用件という程でもない、なんとなくお前の声が聞きたくなったんだ』
「…は?な、んだそれ、馬鹿か!」
『…照れるなよ、声裏返ってるぞ』
「照れてない、別に照れてる訳じゃない、ちょっと喉の調子がおかしいだけだ!!」
『っはは、調子がおかしいって、さっき元気だと言ったばかりだろうが。素直に認めろ、ペンギン』
「……う、それは…くそ、馬鹿キラー!からかうのもいい加減にしろ!おれは忙しいんだぞ、今酒盛りの途中だったんだ。年も暮れるしもうすぐ日付も変わるし、…あ。…そうか、いや、…なんでもない」
『…ふ、おれの所も宴会の真っ最中だよ。わざわざ抜けてお前に連絡したのは、そう、それだ。もうすぐ日付が変わる。新年だな、ペンギン。今年はお前と数回しか会えなかったが、…まあ、楽しかったし嬉しかったよ』
「…そう、だな。今年はあんまり会えなかった。いや、おれも楽しかったし嬉しかった」
『…欲を言えばもっと会いたかったが、』
「は、やけにクサい台詞を吐くな。どうしたんだ」
『…うるさい、おれも酒が入ってるんだ。キッドに呑まされたからな』
「…ああ、やっぱり酔ってるんだな」
『…まあ、だから、ペンギン。来年もよろしく頼む。色々と、な』
「ん、こちらこそ。来年もよろしく」
『…ああ』
「…あ、日付変わるぞ」
『お、本当だ、もう年越しだな………明けましておめでとう、ペンギン』
「…ん、明けましておめでとう」
『愛してるよ、今年も』
「ああ。…おれもだ、…おれも好きだ」
『…っ、どうした、急に素直だな』
「阿呆、おれだって呑んでる。酔ってる。そういう事にしておけ」
『そうか、ああ、それでいいさ。おれもお前も酔ってるんだ。…キッドが呼んでるから、そろそろ戻るな』
「…ん、おれも船長達の所に戻るわ。ほっといたら大変な事になりそうだしな」
『また落ち着いたら連絡する。たまにはお前からもしてこいよ』
「…おれから、連絡、ね…ま、考えとくよ」
『…ああ、じゃあまた。良い一年を』
「ああ。お前も。良い一年を」

(20121231)


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