放課後、いつものように教室に残って、いつもの面子でダラダラと話していた。
キッド、ロー、キラー、シャチ、そしておれペンギンはいつも連れ立っており、それぞれ素行が悪いと教員には煙たがられている。


いっそ見放されていて、今ではわざわざ注意してくる教師は数えるほどもいない。






「オイそこの馬鹿共、お前ら今からプール掃除してこい」


「は?」


下校時刻には早すぎる時間にも関わらず顔を覗かせた、律儀に注意をしてくる唯一の生活指導教員・クロコダイルの言葉に、おれ達はぽかりと口を開けた。


「返事は『はい』だろうが」
「いや、イキナリなんなんだよ!?」


校内で、しかも生徒の前だというのに葉巻をふかすクロコダイルは、食って掛かるキッドをぎろりと睨む。


「黙れ校則違反常習犯共。反省文も提出しない、何度注意しても改心しないお前らへの、これは云わば救済処置だ。感謝しろ」
「…へ?」
「いい加減こっちも、お前らを擁護してられねェんだよ。学校に少しでも貢献してもらわねェと、お前らをここに置いとく理由は無くなる」


たっぷりと時間を使って口の端から優雅に紫煙を吐き出し、クロコダイルは片眉を引き上げてから目を細める。


「この話を飲めねェってんなら、今までの分も含めて退学処分になりかねん。そうなりゃおれはもう手出し出来ねェからな、お前らはあっという間に学校とサヨナラだ」


クロコダイルの言葉に、隣のシャチが微かに慌てた。根は真面目なシャチの事だ、退学にでもなれば家族に迷惑がかかると考えたのだろう。
かく言うおれも退学は流石に嫌だった。纏う空気が変わったのに気付いたのだろう、薄い唇が『ただし、』と動いた。


「やるなら未提出分の反省文は免除してやるし、今後規則に従うなら退学の話はナシにしてやれる。選ぶのはお前らだが、」
「…やる」


それまで顔色も変えず言葉も発しなかったローが、ぽつりと呟いた。


「やる。退学すんの嫌だし。な、シャチ?」
「…お、おれもやる!」


ローに促され、シャチも頷いた。それを見たキッドも溜め息を吐きながら席を立つ。
なんとなくキラーに目を向けたら、奴もおれを見ていたようだった。ぱちりと視線が合って、お互いに小さく笑う。


「…やりますよ、鰐先生。やりゃいいんでしょ」
「…フン、」


クロコダイルは鼻で笑って、プール入口の鍵を投げ渡してきた。


「用具はプールサイドに並べてある。終わったら職員室まで鍵返しに来い」
「あーい」


ひらりとローが手を振ると、クロコダイルはかつかつと革靴を鳴らして廊下の奥へと消えた。


「……さて、行くか」


手の中の鍵が、カチャリと音を立てた。



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プール掃除なKID×HEARTが書きたかったのにそこまで辿り着かなかった消化不良。書き直す、かもしれない。

(20120610)


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