「キッドについている理由?」
「ああ。お前、この前おれに聞いただろ?おれが船長についてる理由」
ペンギンが窓の外を見つめながらそう言うのを、おれは静かに聞いていた。


確かに、尋ねた。


なあ、なんでお前はトラファルガーの傍についているんだ?


野暮なことだとは思ったけれど、おれには理解出来なかったからだ。あのキッド曰く変態野郎を、心の底から慕うハートの海賊団。
何かあったのだろうなと、少し気になったから。


「…聞いたな。昔話を聞かせてもらった」
「うん。…だから、お前もおれに教えろよ」
ユースタスの傍にいる理由。ペンギンが視線をこちらに向ける。


おれはちょっと迷ってから、分かった、と頷いた。


「まあ、幼馴染みだったっていう、それだけの理由なんだがな」
「…幼馴染みが海へ出る、それについてきただけってことか?」
「今思い返すと、それだけだ。キッドの潜在的な強さには小さい頃から気付いていて、おれはそれに惹かれていた」


昔の記憶を辿りながら、脳裏を過る懐かしい光景に目を細める。
喧嘩っ早くて、強い信念があって、譲らない野望があって、そして顔に似合わず仲間想いな赤い彼には、初めて会った時から惹き付けられていたのだと思う。


「だから、キッドが海へ出るからついて来いと言った時、特に何も考えずに頷いた」


自分に声をかけてくれたことが嬉しくて、彼の夢へと共に歩めることにただ感激した。


「…別におれ自身が何かしたくて海に出た訳じゃない。キッドのしたいことが海にしかないなら…それがおれに手伝えることなら、共に来る理由なんて他に要らない」
「…キラーのそれは崇拝にも近いな」
「多分そうなのかもしれないな。けど、お前達だってそう見えるぞ?」


ペンギンの言葉に微笑んだら、曖昧な笑顔を返される。
自分の船長に惚れ込んでいるのは、大抵どこのクルーも同じなのかもしれなかった。


「ま、お互い船長が第一なのは変わらないってことだな」
「違いない」
「ありがとう、聞かせてくれて」
ペンギンが帽子を撫でながら言う。おれはどういたしまして、と小さな声で呟いた。


そして、彼の足が組まれているのを見て、ふと思ったことを口にする。
…ペンギンが足を組むのは、何か深く悩んでいる時かイラついている時、だから。


「ペンギン、…嫉妬してる?」
「…キラーのユースタスに対する気持ちがおれへの気持ちと違うなら、…それでいい」
「…うん、安心しろ」
「……ならいい」
「ペンギンも、トラファルガーへの気持ちとおれへの気持ちは違うか?」
「………当然だろ、馬鹿」


自分で聞いておいて拗ねる可愛い恋人に、思わず愛しい溜め息が溢れる。
組んだ足が外されたのを見計らって、おれは彼の体を抱き締めに立ち上がった。

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キッドくんとキラーさんが幼馴染みなら可愛いなぁと。
みんな船長大好きっ子!

(20120430)


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