嗚呼多分、おれはお前が好きなんだろうな。
ぼんやりそう考えて、途端に熱くなった目頭をそっと指で押さえた。
じわりと滲んだ視界。
ぼやけた世界の中で、それでもおれはあの金色を見つけてしまうのだ。
嗚呼、嗚呼、やっぱりな。
おれはお前が好きなんだ。
自覚して、そう思えば思うほどに涙は溢れて止まらなくなる。
頬を伝う温い雫は、自分の意思に反して流れているはずなのに、何故だか不快ではなかった。
目の前の金色は、おれの泣き顔に戸惑っている。奴の顔はよく見えないけれど、気配で分かる。驚いて、いる。
まさか、おれがこんな風に泣くだなんて考えてもみなかったんだろう。
「っ、ペンギン…?どうした、」
馬鹿だな、そんなこと聞かれて素直に答える訳がないだろう。お前が好き過ぎて涙が出ました、なんて言えると思うのか。
何も言わない、正確には何も言えないおれに痺れを切らしたのか、キラーの指先が優しくおれの目尻を撫でる。
そっと拭われたおれの涙は、キラーの指に溶けていく。それが少し羨ましかった。
キラーに溶けることが出来たら、どんなに幸せなんだろうな。
おれ自身の涙なのに、それにすら嫉妬している自分は何なのだろう、皮肉な気がして薄く笑った。
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ふとした瞬間にキラーが好きだって気付いてぼたぼた泣いちゃうペンさん。
ただの泣き虫。
(20120405)