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 承太郎くん、結婚しよ!

「承太郎くん、かわいい〜〜! 結婚したぁい」
「俺も!」
小学生の美少年を抱きしめながら、私はお決まりの言葉を出す。
「コラッ、アンタって子は」
「あらぁ、名前ちゃんなら大歓迎だわぁ〜」
母に小突かれるのも、ホリィさんに喜ばれるのもいつも通り。

「承太郎くん、中学校入学おめでとう! そろそろ結婚したいね!」
「まだ、言ってるの…」
中学生になった承太郎くんの入学式の後に、お決まりの言葉。
小学生の時とは違い、承太郎くんは肯定をしなくなっている。
呆れたような表情を向ける承太郎くん。
そろそろ、承太郎くんも彼女ができてもいい歳だし、「結婚しよ」って言うのやめようかな……。真に受けてもらっても困っちゃうし。
彼にはもっと素敵な相手がいるもんね。
就職で私は地元を離れるし、近所にいたお姉さんっていう過去の存在にならないとなあ。


「おい」
「はい?」
社会人が板についてきたころ。
帰省をしている時にずいぶんなずいぶんな美丈夫に声をかけられた。
「名前だよな?」
「……どちら様でしょうか?」
「俺の顔を忘れたのかよ」
「私の知り合いではないみたいですが……」
記憶をたどると、近所に住んでいた承太郎くんが一番目の前にいる人っぽい。
でも、記憶の承太郎くんはこんな荒い言葉遣いじゃないし、目つきも鋭くない。
「俺に求婚していたことを忘れたとは言わせねぇぜ」
求婚!? ってことは、やっぱり!?
「承太郎くん……?」
「おう」
「承太郎くん!? すっごいかっこよくなったね!」
「……」
「え〜、びっくりしちゃった! というか、私だってよく分かったね」
「お前を探してたからな」
「そうなの?」
「俺は、今18歳だ」
「そうなんだ! もう大人だねぇ」
「つまり、結婚できるってわけだ」
「そっかそっかぁ!」
承太郎くんは結婚の報告がしたくて、声をかけてくれたのかな。昔に仲が良かっただけの私に、わざわざ声をかけてくれるってすごく優しい人に育ったんだねぇ。
「おい」
「うん?」
「そろそろ、結婚しようぜ」
「……え?」
「俺と結婚したいって言ってただろ」
「あ、あ〜〜。あれは冗談で」
「冗談だろうとなんだろうと、俺は昔から本気に思ってた。今更結婚しない、だなんて言うなよ?」


昔に冗談で言ってた言葉を真に受けて、年を重ねて迎えに来る承太郎。
名前ははぐらかして拒否し続けるけど、いつの間にか外壁が埋められていて逃げることができなるなる。


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