昼休み。

いつもは教室でお弁当を食べる私と友達*名前。
だけど今日は、月に1度の『イベリコ豚カツサンドパン三大珍味のせ』の発売日だ。

―…せっかく誠凛に入ったんだから、食べなきゃ損よね!
という友達*名前の提案により、2ヶ月に1回のペースで私たちはこのパンを食べている。
値段が高い上にボリューミーだから、2人で1つだけどね。

毎度毎度手に入れるのは至難の業だけど、今日も無事パンを買う事が出来た。
購買から離れたベンチに座って、友達*名前と2人でそれを食べる。

「んー、美味しい!」
「やっぱりこれだよね!」
「1400円の出費は痛いけどね…」
「でもこれさえ食べれば、恋も部活も上手くいっちゃうんだから!」
「はは、」

友達*名前と他愛もない話をしながら、最後の欠片を口に入れる。
その時だった。


ダム、ダム

少し離れた所から、バスケットボールをつく音がした。
友達*名前もそれに気付いたようで、首をかしげて私を見る。

「この辺にゴールなんてあったっけ?」
「さあ…行ってみる?」

何となく好奇心に掻き立てられて、2人して音のする方へ行ってみた。


中庭の、もっと奥。
そこにぽつんと立っている、古びたバスケットゴール。
音がしていた場所は、そこだった。

入学して1年以上経ってるのに、こんな場所があるなんて気付かなかった。

そしてそこで黙々とシュートを打ち込む彼は…


「あっ、伊月くん…!」
「…!…ああ、名字か」

驚いた。まさか伊月くんがこんな所にいるなんて。








03


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