バンッ

勢い良く屋上のドアを開ければ、あの時のように女子3人に囲まれているライバル*名前ちゃんの姿。


「ライバル*名前ちゃん!」
「ライバル*名前!」

驚いた表情で私を見たライバル*名前は、視線を伊月くんに向けて更に目を丸くする。

「名前ちゃん、俊…」

そして不良3人の視線も、私たちに注がれる。
そのうちの一人が、あからさまに顔をしかめた。

「あんた…また邪魔する気なの?」
「ライバル*名前ちゃんに突っかかるのはもうやめてよ」
「うるさいなあ…あんたが邪魔したから今日また呼び出したんだよ!」

繰り広げられる会話に、唯一分からないといった表情を浮かべる伊月くん。


「あー…あんたホントにムカつく。だったら、守ってみろよ!」


3人の中の一人が、ドンッとライバル*名前ちゃんを押す。


一瞬だった。


ライバル*名前ちゃんの体がふわりとフェンスを乗り越える。
全てが、スローモーションに見えた。

「ライバル*名前ちゃん!」

咄嗟に走り寄ってライバル*名前ちゃんの手を取るけど…時すでに遅し。

自分の体もぐらりと傾いて。


「名字!」

最後に見えたのは、伊月くんの顔。

その顔が、だんだん遠ざかって行く。
体全体に感じる、独特の嫌な浮遊感。


ああ、私このまま―…落ちるんだ。

死んじゃうのかな。


感じるのは、強い後悔。

こんなになるんだったら、せめて伝えておけばよかったよ。
私の気持ちくらい、伝えたかった。



伊月くんが、好きだったって―…









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