「ちょっと名前、どうしたの?」 教室に戻ると、友達*名前が不思議そうに尋ねて来た。 それはそうだよね。 いきなり教室飛び出しちゃったし。 「ううん、何でもない」 「そ?」 その後、引き続き友達*名前と話し始める。 けど…何だか、友達*名前の様子がおかしい。 せわしなく壁に掛けてある時計に目をやったり、伊月くんの方を見たり。 「ねえ…友達*名前、どうしたの?」 どうしても友達*名前の行動が無視出来なくて、聞いてみた。 「え?」 「さっきから変。隠そうったって無駄だからね」 「………」 観念。 そう言った様子で、友達*名前がため息をついた。 「何かね、ライバル*名前…告白、したみたいだよ?伊月くんに」 「…知ってる」 「えっ?」 何だ、その事か。 「じゃあ、また呼び出されたってのも知ってる?」 「えっ!?」 驚いた私の表情を見て、友達*名前がしまった!という風に自分の口を塞ぐ。 「ごめっ、聞かなかった事にして!」 「呼び出されたって…誰に?」 「……」 「友達*名前!」 「…この前と同じ先輩。1時に屋上…名前がいない間にたまたま女子が話してるの聞いたの」 咄嗟に時計を見れば、針は1時3分を指してる。 一瞬放っておこうと思った。 だけど…ここで放っておいたら、この前のつき指も全て無駄になる。 「ありがと。友達*名前」 だから、行かなくちゃ。 友達*名前の制止の声を振り切って、再び席を立った。 その瞬間、伊月くんが目に入る。 「伊月くん!ライバル*名前ちゃんが先輩に呼び出されたの。屋上にいるから来て!」 言いたくなんかなかった。 だけど…ここで言わなかったら、卑怯だと思うから。 とにかく今は、屋上に向けての階段を必死に走った。 21 [戻る] |