見事、私のクラスは銀賞に輝いた。 そして伴奏者賞と指揮者賞も…獲得した。 コンクールが終われば、表彰式。 キラキラと輝くメダルを受け取るライバル*名前ちゃんと伊月くんが、眩しかった。 「私の親車で迎えに来てくれるんだけど…名前も乗ってく?」 表彰式まで終われば、今日は解散。 気を利かして友達*名前がそう誘ってくれたけど、私は首を横に振る。 何となく…今日は一人で帰りたい気分だったから。 「ありがとね」 「ううん。それじゃあまた明日ね、名前!」 「うん、また明日」 沈みかけた夕日を見ながら、一人で道を歩く。 「名字!」 その時、背後で私の名前を呼ぶ声がした。 この声―…聞き間違えるはずがない。 振り返れば…やっぱり。 「伊月くん…!」 今日はさすがのバスケ部も部活はないのかな。 そんな事を考えている間に、伊月くんは私に走り寄ってきて… 「はい、プレゼント」 ふわりと。 私の首に、指揮者賞のメダルがかけられた。 「い、伊月くん!?」 「これを貰うべきなのは、名字だからな」 「そんな!私、伴奏もしてないのに…」 「オーディションに勝ったのは名字だろ?」 「……っ」 声がつまった。 我慢してた涙が、また溢れてきそうになって。 だけどその涙をこらえて、笑顔を作った。 「…伊月くん、ありがとう!」 嬉しかった。 伊月くんが、私なんかを気にかけてくれていた事が。 首にかけられたメダルのおかげで…心が、あったかくなった。 16 [戻る] |