いよいよ合唱コンクール当日。
私のクラスの出番は3番目で、今発表してるのは2番目のクラス。
だから私たちはステージの端に2列に並んで、自分の出番が来るのを今か今かと待ってる。

私がいるのは列の後ろの方。前の方に目をやれば…

次の瞬間、目の前がフッと暗くなった。
友達*名前が両手で私の目を塞いだんだって気が付くまでに、数秒。

「友達*名前…」

手をどけてくれた友達*名前の方を見れば、何故か悲しそうな友達*名前の顔がそこにあった。


「ちょっ、友達*名前!?」
「……ごめん」
「え?」
「ごめんね、名前」

何が、と聞く前に察しはついた。

「ライバル*名前の事、私が名前に教えたせいで…」
「気にしないでよ友達*名前。助けに行ったのは私の勝手だったし」
「でもっ……」
「元々伴奏するつもりなんてなかったんだから。私はいーの」

ぎゅっ、と友達*名前が抱きついてきて、ごめんとまた呟いた。
その時に丁度タイミング良く終わる、前のクラスの演奏。

「ホラ、次私たちの出番。行くよ」
「…名前」
「ん?」
「私は、名前のピアノが大好きだよ」
「…!……ありがと、」




『では、次のクラスの演奏です。どうぞ』

アナウンスの後、伊月くんの手が動き出す。
それに合わせて、ライバル*名前ちゃんのピアノも……

ライバル*名前ちゃんが弾く前奏の後、ようやく歌が始まる。


…さっきは強がってあんな事いったけど…

やっぱり、ツラい。


あんな事さえなければ…本当は私が弾くはずだった曲なのに。

涙が溢れそうだった。









15


[戻る]

prev next