階段を駆け上がって、屋上へ向かう。 屋上のドアを開けようとすると…ドアの向こうから声が聞こえてきた。 「あんたさあ、さっきはよくも恥かかせてくれたね」 「良い子ちゃんぶっててウザいんだけど」 まぎれもなく、友達*名前が言ってた不良たちの声だ。 そして… 「あんたたちが酷い事してたんだから、止めて当然じゃない」 ライバル*名前ちゃんの声だ。 「先輩に向かって生意気な…反省の色もないって感じね」 「だったら痛い目に遭わせてやるよ!」 ライバル*名前ちゃんが危ない…! そう思って、勢い良くドアを開ける。 バンッ 「あんたたち、ライバル*名前ちゃんに何してんの!」 驚いて私の方を見る皆。 3年の女子3人が、ライバル*名前ちゃんを囲むようにして立っていた。 「名前ちゃん…」 こっち!と私が手招きすると、ライバル*名前ちゃんは3年の間をすり抜けて私の方へ来た。 「チッ、邪魔しやがって…」 3人のうちの一人が、自分の足元にあった小石を拾って。 ライバル*名前ちゃんの顔めがけて投げたのは…一瞬だった。 「危ないっ!」 そして咄嗟に私の左手がその小石からライバル*名前ちゃんを守ったのも…一瞬。 「痛っ…」 左手に、刺すような痛みが走った。 「名前ちゃんっ…」 「早く行くよ!」 ライバル*名前ちゃんの手を引いて、急いで屋上から出る。 後ろで暴言は聞こえたけど、幸い不良たちは追ってこなかった。 足を止める事なく、一気に階段を駆け下りて踊り場まで急ぐ。 その間もどんどん増してくる左手の痛み。 「はあ…ここまでくれば大丈夫だよね」 「…何で」 「え?」 「何で助けたのよ」 「何でって…ライバル*名前ちゃん、コンクール控えてるし…」 「……ありがと」 嫌そうにだけど、ポツリとライバル*名前ちゃんがそう言った。 驚いてライバル*名前ちゃんの方を見れば、パッと目線を逸らされたけど。 「名前ちゃん」 「何?」 「今日の事は誰にも言わないで」 「…え?」 「とにかく、言わないで」 「?……うん、分かった」 それじゃ。 そう言って、ライバル*名前ちゃんは教室の方向へと歩いて行った。 12 [戻る] |