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※19巻170Qより
※名前は氷室と火神の幼馴染
※黄瀬くんは出てきません






「たたたタツヤ!?」

灰崎の姿が見えなくなるのと入れ替えに、すぐ真横でした大きな声。
横を向けば驚いたような表情をした名前が立っていた。
いつの間に…
灰崎にばかり目が行ってて気付かなかった。

「名前、どうしたの?」
「どっ、どうしたの!?」

いや、聞いてるのはオレなんだけどな…
そう思いながらも、名前の人差し指がオレの右目の上辺りを指しているのを見て納得。
ああ、これか。

「今色々あってね」
「色々って…何でタツヤが怪我してるの…!?」
「少し言い争いになっちゃって」
「……うっ…」

ぽろぽろ。
次の瞬間、そんな効果音がぴったりの涙が名前の両目から零れ落ちた。

「え、名前?」
「…痛いよね…絶対痛いよね…っ…」
「大丈夫だよ」
「嘘だっ…だって…血…」
「昔はよく喧嘩してたしこのくらい平気だって」
「い、くら喧嘩慣れしてたって…痛いものは、痛いでしょ…ばかっ」

どん、とオレをどつきながら心配そうに言う名前の声が震えている。
オレが何回痛くないし大丈夫だよ、と言ってもその涙は止まってくれなくて。
仕舞いにはその場にうずくまって泣きだす始末。
慌ててオレもしゃがんで名前の背中に手を添えると、
涙の雫がぽたぽたとアスファルトの地面を濡らした。






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