06




「んじゃ、行ってみるわ」

それから5分ほど話してから伊月がそう言った。

そのまま帰しても良かったけど、一応玄関先まで伊月の見送りに行く。


「暗いから気を付けてね」
「おー。色々ありがとな」
「うん」


伊月は2,3歩進んだかと思うと立ち止まりくるりとこちらを振り返る。

「伊月?」
「もう1月1日だな」
「だね」
「ってことは正月だな」
「え?うん、そだね」
「和尚さんが2人で……」
「へ?」
「和尚がツー…おしょうがつだ!」
「……」


さっさと行け!

そう言って伊月の背中を押したのは言うまでもない。






家に帰ると、時計の針はもう12時を過ぎている。
本当に新年になったんだなあ…あんまり自覚ないけど。

伊月のいないリビングは、何となくガランとしていて寂しく感じた。


いつもは家族と共に過ごす大晦日。
やっぱり次回からは、また家族と一緒に年を越すだろう。


だけど…たまにはこういう年越しも、良かったのかもね。





(NEXT⇒あとがき)








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